学校現場のデジタル化進まず ファクス7割・印鑑9割が継続使用
文部科学省が2026年3月9日に公表した調査結果によると、公立小中学校における業務のデジタル化が思うように進んでいない実態が明らかになりました。全国2万8049校を対象に昨年11月から12月にかけて実施された調査(回答率98.6%)では、日常業務でファクスを使用している学校が71.7%、書類に印鑑を使用する学校が91.0%に上ることが判明しました。
政府目標にはほど遠い現状
前年度と比較すると、ファクス使用校は5.1ポイント減少、押印が必要な書類がある学校は1.9ポイント減少していますが、政府が2023年に示した「2025年までにファクスでのやり取りと押印を原則廃止」という目標には依然として遠い状況です。
文科省の担当者は「地域によってデジタル化の優先順位が異なるため、状況を見極めながら進めることが重要」と説明しています。特にファクスは地元業者との連絡手段として、印鑑は通知表や進路希望調査票などの保護者向け書類で使用されるケースが多いとされています。
デジタル化が進まない背景事情
学校だけで判断できない事情も影響しているようです。保護者や地域社会との連携が必要な業務では、従来の方法が維持される傾向が強く、完全なデジタル移行には時間がかかると見られています。
効果的なデジタル化の取り組み
一方で、働き方改善に効果的と評価されているデジタル化の事例も報告されています。
- 子どもの欠席連絡をモバイル端末で受け付ける(実施率84.2%)
- 保護者へのアンケートにクラウドサービスを活用(実施率70.5%)
- 生成AIを校務で活用(実施率17.2%)
これらの項目では、半数以上の学校が「働き方がとても改善された」と回答しています。
今後の展望と課題
実施率は低いものの、効果実感が高い項目として注目されているのが、保護者との連絡調整に関するデジタル化です。
- 保護者との日程調整にクラウドを活用(実施率18.2%)
- 保護者から学校への提出資料をクラウドで受け付け(実施率19.9%)
文科省担当者は「保護者との連絡調整に関する項目で効果実感が高い。今後の伸びに期待したい」と述べており、学校業務の効率化に向けた重点的な取り組みが期待されます。
今回の調査結果は、学校現場におけるデジタル化の進捗に地域差があること、また完全な移行には保護者や地域社会との連携が不可欠であることを示しています。政府の目標達成に向けては、より柔軟なアプローチと段階的な移行戦略が必要となるでしょう。



