JR美祢線のBRT復旧計画、専用道整備を巡り議論が活発化
2023年の大雨により全線不通となったJR美祢線について、バス高速輸送システム(BRT)を用いた復旧に向けた議論が進展している。法定協議会「美祢線沿線地域公共交通協議会」では、事務局が専用道の必要性について慎重な検討を求める一方、委員からは設置を望む意見も相次ぎ、今後の方針に注目が集まっている。
専用道整備の費用対効果に課題、時短はわずか1分
協議会事務局を務める県交通政策課は、2月の会合で専用道整備に関する事務局案を提示した。同案によると、検討された3パターンの専用道(南大嶺駅―美祢駅間2.5キロ、貞任第5踏切―厚保駅間4.2キロ、厚狭駅―下河端第2踏切間1.2キロ)では、時間短縮効果が約1分程度に留まる見込みである。一方で、整備費用は約21億円から約45億円と試算されており、費用対効果の面で課題が浮き彫りとなった。
事務局はこの結果を踏まえ、「速達性・定時性の向上を目的とした専用道整備は費用対効果が低くなる見込みで、専用道の必要性は慎重に検討する」との方針を示した。これに対し、委員からは異なる視点からの意見が噴出している。
観光促進と自動運転導入を期待、設置を求める声も
会合では、専用道設置を支持する意見として、「バスの運転士不足と高齢化は深刻化しており、長い距離の専用道で自動運転をするという方法も検討していいのでは」との提案がなされた。自動運転技術の導入により、人手不足の解消や運行効率の向上が期待できると指摘されている。
さらに、「BRTが観光の起爆剤となることを期待している。観光面からも専用道の設置を検討してもらいたい」との声も上がった。専用道を整備することで、観光客の利便性が向上し、地域経済の活性化につながる可能性が強調された。
運行計画ではバス本数増加と2ルート設定を提案
事務局案では、BRTの運行計画として以下の点が盛り込まれている:
- バスの運行本数を従来の鉄道の約1.5倍に増加させる。
- 線路に沿って走行する通常便と、停車駅を減らし国道316号を経由して所要時間を短縮する快速便の2ルートを設定する。
これらのルートはいずれも既存の道路を利用する計画であり、専用道に依存しない運行形態が検討されている。これにより、初期投資を抑えつつ、サービス向上を図る方針が示された。
先行事例「BRTひこぼしライン」の成功に学ぶ
災害後のBRT導入事例として、九州の「BRTひこぼしライン」が参考にされている。2017年7月の九州北部豪雨で不通となったJR日田彦山線の一部区間(福岡県添田町―大分県日田市)において、2023年8月に運行が開始されたこのBRTは、観光客の増加に貢献していると報告されている。美祢線でも同様の成功を収めるため、観光面での効果を重視する声が強まっている。
今後の協議会では、費用対効果と観光・自動運転への期待を天秤にかけながら、専用道整備の是非が議論される見通しだ。地域の交通網再建と経済活性化を両立させる方策が求められている。



