国土交通省は2日、電柱をなくす「無電柱化」の取り組みについて、2030年度までの5年間は通学路で新たに目標値を設けて優先的に進める計画を発表した。道路脇の電柱を避けて車道にはみ出して歩く児童らの交通事故を減らす狙いがある。
国交省によると、警察庁とともに、速度制限や障害物の設置によって安全対策を進めている全国263地区の通学路の7割に電柱がある。このうち、特に危険度が高い55地区について市町村がつくる計画の技術的な支援をする。
また55地区に限らず、道幅が狭いといった危険な通学路では、電柱の新設を原則、禁止する。国交省は2016年に成立した無電柱化推進法に基づき、これまでも事業を進めてきたが、通学路に特化した対策は今回が初めてとなる。
通学路の安全確保は、保護者や学校関係者から長年要望が上がっていた。特に、歩道が狭い道路では電柱が障害となり、児童がやむを得ず車道を歩くケースが多く、事故リスクが指摘されていた。今回の計画では、電柱の撤去や地中化を進めることで、歩行空間を確保し、安全な通学環境を実現することを目指す。
国交省は、支援対象となる55地区の選定基準として、交通事故の発生状況や通学路の幅員、電柱の位置などを総合的に評価したと説明。具体的な地区名は公表していないが、全国の自治体から申請を受け付け、優先順位をつけて支援を行う方針だ。
また、新設禁止の対象となる危険な通学路の定義について、国交省は「歩道幅が1メートル未満で、電柱があるために歩行空間がさらに狭くなっている道路」などを想定している。ただし、緊急時や工事のための仮設電柱などは例外とする。
無電柱化の推進には、電線の地中化に伴うコストや、電力会社との調整など課題も多い。国交省は、自治体向けのガイドラインを策定し、技術的な助言を行うほか、補助金制度を拡充して財政面でも支援する考えだ。
今回の計画は、2026年度から2030年度までの5年間を対象としており、国交省は毎年、進捗状況を公表する予定。通学路の無電柱化が進むことで、児童の安全確保だけでなく、災害時の電柱倒壊防止や景観向上にもつながると期待されている。



