広島市中心部を45分で一周する新路面電車「循環線」、試乗会で課題も浮き彫りに
広島市新電車「循環線」試乗会、45分一周で課題も (26.03.2026)

広島市中心部を一周する新路面電車「循環線」、試乗会で実態を検証

広島電鉄が2026年3月28日に開業を予定する市中心部循環路面電車「循環線」の報道機関向け試乗会が、3月25日に実施された。この新路線は広島市中心部を一周する初の環状ルートとして注目を集めており、市民や観光客の新たな交通手段として期待が寄せられている。しかし、運行は日中のみに限定され、運転士確保のため他の路線が減便となるなど、早くも課題が浮かび上がっている。

「HIRODEN LOOP LINE」の特製ヘッドマークが輝く試乗電車

試乗会は午前11時過ぎ、起点となる広電本社前電停から始まった。「HIRODEN LOOP LINE」の特製ヘッドマークを掲げた一両編成の電車が発車すると、車内放送で「この電車は、循環線内回りです」との案内が流れた。循環線は、広電本社前から皆実町六丁目、的場町、紙屋町東を経由して元の地点に戻る内回りと、その反対方向に運行される外回りの2方向が設定されている。

出発から約10分後、皆実町交差点で電車は左にカーブし、広島駅方面へ向かう線路に入った。この区間は従来、回送電車のみが使用していたルートであり、一般路線としての運用開始は画期的な試みだ。特に比治山下から段原一丁目、的場町を経て稲荷町までの約1.2キロ区間は、昨年夏の駅前大橋ルート開通に伴い休止されていた線路や電停を活用したセクションで、下町情緒豊かな街並みの中を急カーブが連続する。この特徴的な走行は鉄道ファンからの人気を集めることが予想される。

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約45分の一周ダイヤ、道路渋滞の影響も

試乗会では、約45分で一周する予定のダイヤが組まれていたが、道路の渋滞の影響により実際には50分ほどを要した。車窓からは繁華街から住宅街へと景色が目まぐるしく変化し、広島駅が視界に入る距離に近づきながらも通過しないルート設計は、利用者に新鮮な体験を提供するだろう。

しかし、循環線の運行時間は午前10時から午後4時までに限定されており、運行間隔は平日が25分に1本、土休日は45分に1本と非常に少ない。これは広電の路線の中で最も本数が少ない設定となり、SNS上では「少なすぎる」という批判的な意見も見受けられる。さらに、運転士を確保するための影響として、循環線の運行時間帯には白島―八丁堀、江波―横川駅の電車が減便となることが明らかになった。

観光客向けに「被爆電車」を中心に運行

広島電鉄の山瀬隆明・電車運輸車両部長は試乗会で、「沿線にはさまざまな公共施設や観光地があり、路面電車でより一体的に回れるようになる」とPRした。観光客を主なターゲットとして想定しており、「被爆電車」など古い形式の電車を中心に運行する計画だという。これにより、広島の歴史的価値と観光資源を結びつける新たな取り組みとして期待が高まっている。

循環線の開業は、広島市中心部の交通網の充実と観光促進に貢献することが期待される一方で、運行本数の不足や他路線への影響といった課題への対応が今後の焦点となる。市民や観光客からのフィードバックを踏まえ、柔軟な運営が求められるだろう。

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