仲代達矢さん急逝から3か月、無名塾の教え子たちが師の遺志を継ぎ「等伯」を上演
仲代達矢急逝3か月、無名塾教え子が「等伯」上演で師の遺志継ぐ (13.02.2026)

仲代達矢さん急逝から3か月、無名塾の教え子たちが師の遺志を継いで舞台に挑む

昨年11月に俳優の仲代達矢さんが92歳で急逝してから、早くも3か月が経過した。仲代さんが主宰した俳優養成所「無名塾」の教え子たちが、3月7日と8日に石川県七尾市の能登演劇堂で舞台「等伯―反骨の画聖―」を上演する。この公演を前に、主人公の長谷川等伯役を演じる赤羽秀之さん(56)と、妻役の円地晶子さん(47)が意気込みを語った。

稽古場に残る師の痕跡、教え子たちの深い思い

東京都内の無名塾の稽古場には、仲代さんが愛用していた机の上に、サイン入りの「等伯」の台本が今も置かれている。円地さんは恩師への思いをこう吐露する。「本当はどこかにいる。つらすぎるから、私はまだ受け止めないようにしている気がします」。赤羽さんらベテラン勢のせりふは力強くまろやかで、深い思いがにじみ出ており、仲代さんをほうふつとさせる語り口だ。赤羽さんは「ずっと一緒にやってきたものが、体にしみついているのでしょう」と語る。

昨年6月まで元気に舞台に立っていた仲代さんだったが、自宅で転倒して入院し、肺炎を発症して11月8日に息を引き取った。赤羽さんは当時を振り返り、「それからバタバタで、振り返る余裕もなく時が過ぎた。稽古のスケジュールが出始めて『いないんだ』と改めて感じた」と述べている。

無名塾の創設と教え子たちの記憶

無名塾は1975年に仲代さんと妻の隆巴さんが俳優養成のために創設した。円地さんは入塾オーディションの際、仲代さんから「僕はいろんな役者を見てきて驚かないから。やりたいことをやって」と言われたことを思い出す。「そういう大きさがありましたね」と感慨深げに語る。一方、赤羽さんは「品がある芝居を」と言われ、その意味を考え続けてきた。「派手さはなくてもしっかりしている。『重厚』の根源にあることだと思う」と解釈を加える。

舞台「等伯」の内容と上演の意義

赤羽さんが演じる主人公・等伯は、16世紀に能登で絵仏師として活躍した後、京都に出て、当時勢いのあった狩野派に屈せず優れた絵を描いた絵師だ。岡山矢の上演台本は、等伯のパワフルな生き方と静謐な「松林図」の創作に至るまでの心の軌跡を描いている。

初演は2023年で、この時は仲代さんが出演せず、演出に専念した。今回の再演でも仲代さんの演出プランを踏襲する。円地さんは「『役者同士でダメ出ししてはいけない』と習いましたが、こうなったら意見を出し合わないと。『仲代さんならこう言うはずだ』ということを口に出すようにしてます」と、新たな取り組みを明かす。

師の看板なくても、高い志を持って前進

無名塾の日常は「特別変わってません」と赤羽さんは語る。「等伯」には昨年入塾した小林晃平さん、天野未夢さん、畑田萌衣さん、仁平菓令来さんも出演し、早朝から懸命に俳優修業にいそしんでいるという。赤羽さんは力強くこう語った。「仲代達矢の看板が外れたら『やはりダメだね』と言われては悔しい。『なかなかいい芝居をする』と絶対言わせたいと、みんなで意思確認をしました」

「等伯」は中国地方、神奈川、来年2月に関西でも上演される予定だ。赤羽さんは「決まっていることは滞りなくやりたい。その先については、話し合っていく」と今後の展望を述べている。能登公演の問い合わせは電話(0767-66-2323)まで。