広島電鉄、23年ぶりの新系統「循環線」を開業 観光客誘致で日中運行を強化
広島電鉄は3月28日、広島市中心部を周回する路面電車の新系統「循環線」の営業運行を開始する。この新路線は、観光客の利便性向上を目的として、日中時間帯に限定して運行される。広電が路面電車の新系統を設けるのは、実に23年ぶりのことであり、地域の回遊性向上と活性化への期待が高まっている。
循環線の詳細と運行計画
循環線は、「広電本社前」(広島市中区)を起点として、内回りと外回りの2方向で運行される。内回りは南区の皆実町方面へ、外回りは中区の紙屋町方面へ向かう。路線の全長は約7キロで、1周するのに約45分を要する。既存の軌道を一部つなぎ合わせて整備され、計21の電停に停車する予定だ。
運行時間は午前10時から午後4時まで。平日は内回りと外回りがそれぞれ15本ずつ運行され、約25分間隔で電車が来る。土日祝日は内回りと外回りがそれぞれ8本ずつで、約45分間隔となる。この時間帯設定は、観光客が市内を巡りやすいよう配慮されたものだ。
観光と地域活性化への貢献
循環線の最大の魅力は、商業施設が集中する市中心部と、自然や文化施設が豊富な比治山エリアを、乗り換えなしで行き来できる点にある。これにより、観光客の移動がスムーズになり、地域経済の活性化が期待される。広島電鉄の山瀬隆明・電車運輸車両部長は、「回遊性を高め、地域活性化につながるルートになるはずです。路面電車の魅力も合わせて発信していきたい」と語り、新路線への意気込みを示した。
また、今後は被爆電車を含め、製造から50年以上が経過したレトロな車両の運行も検討されている。これにより、観光資源としての路面電車の価値がさらに高まる可能性がある。
試乗会の実施と今後の展望
開業に先立ち、3月25日には報道陣向けの試乗会が行われた。貸し切り車両を使用し、広電本社に隣接する千田車庫(中区)を出発して、内回りで市内を巡るルートが体験された。この試乗会では、新路線の安全性や快適性が確認され、関係者から好評を得た。
循環線の開業は、広島市の観光インフラ整備の一環として位置づけられており、国内外からの観光客増加に寄与することが見込まれる。路面電車という持続可能な交通手段を活用することで、環境面でも貢献が期待される。



