警察庁は特殊詐欺対策の一環として、警察と金融機関の間で口座情報の照会手続きをオンライン上で行う新たな仕組みを導入する。2026年6月1日から、三菱UFJ銀行や三井住友銀行など9つの銀行との協定に基づき運用を開始する。これにより、被害金の迅速な追跡や口座凍結が可能となり、犯罪グループによる資金移動の防止が期待される。
従来の照会手続きの課題
これまで都道府県警は、特殊詐欺の被害申告を受けた後、送金先の金融機関に対して郵送などで移転先の情報を照会していた。しかし、この方法では回答に数日から数週間を要し、その間に被害金がさらに別の口座に移されるケースがほとんどだった。警察の把握が犯罪グループの迅速な資金移動に追いつかず、被害金の回収が困難になるという問題があった。
新たなオンライン照会の仕組み
新たな手続きでは、都道府県警からの照会を警察庁が一元管理し、オンライン経由で金融機関に伝達する。金融機関は照会を受けた当日中に移転先の情報を回答することが可能となり、これまで数日から数週間かかっていたプロセスが大幅に短縮される。照会を継続する中で被害金が入った口座が特定されれば、即座に口座凍結の依頼を出すことができる。また、被害金の所在が迅速に把握できるため、現金を引き出す「出し子」が関与した事件では早期の捜査開始が可能となる。
参加金融機関と今後の展望
運用開始時には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行など9行が参加する。警察庁は今後、他の金融機関とも連携を拡大し、より多くの口座情報をカバーできる体制を目指す。
資金洗浄対策の強化
警察は資金洗浄対策としても金融機関との協力を強化している。犯罪収益移転防止法の改正案には、架空名義の口座を犯罪グループに提供する仮装身分捜査の導入が盛り込まれた。警察官が闇バイトなどに応募し、提供した口座に被害金が入金された時点で凍結し、被害金を回収する仕組みだ。この改正案は現在国会で審議中である。



