群馬県の山道を夜間に車で走行中、霧の中に二つの小さな光が浮かび上がった。目前に現れたのは立ちすくむニホンジカだった。急ハンドルで衝突は回避したものの、県内で最近発生したシカが関係する死亡事故を思い出し、背筋が凍る思いをした。
連続するシカとの遭遇
落ち着きを取り戻し、しばらく車を走らせたところで、再びヘッドライトの光を反射する動物の目が見えた。今度のシカは対向車線でじっとしていた。「勘弁してくれよ」とつぶやきながら、さらに慎重な運転を心がけた。
長野県など山沿いの地域で勤務した経験はあるが、これほどの頻度でシカに遭遇するのは初めてだ。全国的にニホンジカが増加し、食害が深刻化していることは知っていたが、今回の体験が身近な問題として捉えるきっかけとなった。
群馬県のシカ被害の現状
群馬県鳥獣被害対策支援センターによると、県内のニホンジカの推定生息数は約3万9千頭(2022年度)で微減傾向にある。しかし、農林業の被害額は年間約2億7千万円(25年度)に上り、農業被害は高止まりのままである。
センター職員は「繁殖力が高く、被害を抑えるには地道な捕獲が必要なんです」と説明する。この言葉を聞き、野生動物との距離感の難しさを改めて考えさせられた。
シカによる交通事故は全国的にも増加傾向にあり、群馬県でも注意が必要だ。特に夜間の山道では、突然の飛び出しに備えた慎重な運転が求められる。



