高知県香南市の高知東部自動車道で2024年9月、乗用車に正面衝突して1歳の男児を死亡させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた無職の竹崎寿洋被告(61)=高知市=の論告求刑公判が3日、高知地裁で開かれた。検察側は「過失運転行為の中でも最も悪質」として禁錮7年を求刑した。判決は7月15日に言い渡される。
事故の経緯と検察の主張
起訴状によると、竹崎被告は2024年9月21日、運転支援装置を使用して高知東部自動車道を運転中、革靴からサンダルに履き替えようと助手席の足元にあるサンダルに左手を伸ばした際、誤って右手で急ハンドルを切り、対向車線に進入した。その結果、大阪市淀川区の神農諭哉さん(34)が運転する乗用車に衝突し、後部座席のチャイルドシートにいた長男の煌瑛ちゃん(当時1歳)を死亡させ、神農さんと妻の彩乃さん(39)、長女に重軽傷を負わせたとされる。
論告で検察側は「曲芸運転とでもいうほかない極めて危険な行為であり、故意に匹敵する重大な過失」と厳罰を求めた。一方、弁護側は「謝罪の意思を示している」などとして「公平公正な判決」を求めた。
遺族の意見陳述
被害者参加制度を利用して法廷に入った神農諭哉さんは「過失運転致死罪も重たいのだと未来に残る判例にしてほしい」と述べ、彩乃さんは「被告は運転支援装置を悪用した。最も重い判決を」と意見を陳述した。
運転支援装置の危険性
本件は、運転支援装置が油断を招いた可能性が指摘されている。運転支援装置はあくまで補助機能であり、運転者の注意力を完全に代替するものではない。今回の事故は、装置への過信が重大な結果を招いた典型例と言える。
検察は、竹崎被告の行為が単なる過失を超え、故意に近い悪質性を持つと判断した。判決では、運転支援装置の使用に関する注意義務の範囲や、過失の程度が争点となる見通しだ。
本件は、運転支援技術の普及に伴い、新たな法的課題を提起している。今後の判決が、同様の事故防止や法解釈に影響を与える可能性がある。



