政府は、交流サイト(SNS)の利用に伴う子どもの過度な依存やいじめ、犯罪被害を防止するため、青少年インターネット環境整備法の改正に向けた検討を開始した。事業者に対して、利用する子どもの年齢確認を義務付けることも視野に入れている。
子どもの精神疾患リスクとSNSの影響
成長期にある子どもがSNSを含むインターネットを長時間利用すると、精神疾患のリスクが高まることが各種研究で指摘されている。また、SNSをきっかけとしたいじめや犯罪被害に遭うケースも増加傾向にある。
規制強化への慎重な声
一方で、現代社会においてインターネットは生活や仕事に不可欠な存在となっている。さらに、学校になじめずSNSが社会とつながる唯一の手段となっている子どもがいることなどから、規制強化には慎重な意見もある。しかし、これらのメリットを考慮しても、過度な利用に伴う危険性は否定できない。子どもの心身の安全を最優先に考え、利用に一定の制限を設けることは必要であろう。
海外の動向と課題
海外では、オーストラリアが16歳未満のSNS利用を禁止する法律を施行したのをはじめ、利用者の年齢確認を事業者に義務付ける動きが広がっている。代表的なSNSであるX(旧ツイッター)やインスタグラムも法律に従い年齢確認を行っているが、その手法は利用者の自己申告にとどまっている。確認が甘いSNSに利用者が流れているとの指摘もあり、規制の実効性が十分に担保されているとは言い難い。
政府の対応案
総務省が示した議論のたたき台では、年齢が証明できるまでSNSの機能を制限することや、子どものスマートフォン契約時に義務付けられている保護者による使用制限の設定をSNSアプリに拡大することが対応案として挙げられている。しかし、通信契約を結んでいない端末を利用するなど、子どもたちがSNSを利用できる抜け道は多いとみられている。政府は海外の先行事例とその効果を十分に検証した上で、実効性のある規制策を見いだす必要がある。
SNSの機能是正と事業者の役割
利用者の閲覧状況を分析し、その人の興味を引きそうな情報を次々と提示するSNSの機能が、過度な利用による睡眠不足や依存の原因となっている。子どもの健康を守るためには、事業者に対してこうしたサービスの是正を求めていくことも不可欠である。しかし、事業者にとってSNSに表示される広告は収益の大きな柱となっており、自主的な対策を促すだけでは十分な効果は期待できない。規制を強化し、事業者が子どもの安全を守る対策を徹底せざるを得ない枠組みを構築することが重要だ。



