集団予防接種における注射器の使い回しが原因でB型肝炎に感染し、腎炎も悪化したとして、大分県の64歳男性が国に約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地方裁判所は2026年5月12日、請求を全面的に認める和解案を示しました。しかし、国側は同日の弁論で和解案を拒否する方針を明らかにしました。
全国初の判断
原告弁護団によると、裁判所がB型肝炎を原因とする腎炎を救済する考えを示したのは全国で初めてです。これまでB型肝炎の感染そのものに対する救済は行われてきましたが、その結果生じた腎炎への補償が認められた事例はありませんでした。
和解案の内容
和解案によると、男性は2001年(平成13年)にB型慢性肝炎と診断され、同時に肝炎に関連する腎炎を発症しました。特別措置法などに基づき、肝炎に対して1250万円の給付を受けたものの、その後腎機能が悪化し透析治療が必要となり、2016年(平成28年)に提訴に至りました。
三井教匡裁判長は今年3月に示した和解案で、男性にはB型肝炎以外に腎炎を引き起こす疾患がないと指摘。生活に多大な支障が生じていることなどを考慮し、請求通り約2400万円の支払いを国に求めました。
国の対応
国は12日の弁論で和解案を拒否する方針を表明。今後の訴訟の行方が注目されます。原告側は「腎炎の原因がB型肝炎であることが認められた意義は大きい」と評価しつつ、早期解決を目指すとしています。



