犯罪被害者の支援強化へ「被害者手帳」モデル案を警察庁が発表
警察庁は4月9日、犯罪被害者の心理的負担を軽減するための「被害者手帳」のモデル案を公表しました。この手帳は、殺人や性犯罪、重大交通事故などの被害者や遺族を対象としており、2026年度中に配布を開始する予定です。政府が3月に閣議決定した「第5次犯罪被害者等基本計画」に基づき、警察による作成・交付が盛り込まれたことを受けた取り組みとなります。
被害体験の繰り返し説明を避ける記録欄を設置
モデル案は約100ページにまとめられ、被害者団体の意見を反映しています。特に注目されるのは、事件概要や心身の不調などの症状を記録する欄が設けられている点です。これにより、同じ被害体験を捜査機関や支援機関など複数の場所で何度も説明する心理的負担を軽減することが期待されています。
さらに、捜査機関や裁判所の担当者とのやり取りを記述するスペースも確保。突然の犯罪に巻き込まれた被害者が混乱しないよう、刑事手続きの流れを図解で分かりやすく説明しています。公的支援制度やカウンセリング先などの情報も掲載され、包括的なサポートを提供する設計となっています。
地域の支援施策を盛り込み、年間3万部の配布を見込み
今後、都道府県警察が地域の支援施策や連絡先を追加し、手帳の名前やデザインを決定して完成させます。警察庁は年間約3万部の配布を見込んでおり、長期的な活用を促進するため、警察や自治体向けの研修も進めていく方針です。
犯罪被害者の中には、事件から数年後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するケースもあり、継続的な支援が重要と指摘されています。警察庁の担当者は「被害者の方々に手帳を長く活用してもらえるよう、体制を整えたい」と述べ、実効性のある支援を目指す姿勢を示しました。
この取り組みは、犯罪被害者の権利保護と社会復帰を後押しする新たな一歩として、関係機関から注目を集めています。



