町長を「暴力団の舎弟」と記載したネットメディアに賠償命令、福岡地裁が名誉毀損を認定
町長「暴力団舎弟」記載でネットメディアに賠償命令、福岡地裁

ネット記事で町長を「暴力団の企業舎弟」と記載、福岡地裁が名誉毀損を認め賠償命令

福岡県大任町の永原譲二町長が、自身を指定暴力団「太州会」(同県田川市)の「企業舎弟」だったなどと記載したネット記事により名誉を傷つけられたとして、ネットメディア「ハンター」側を訴えていた訴訟の判決が、2026年3月13日に福岡地裁で言い渡された。中辻雄一朗裁判長は名誉毀損を認め、被告側に55万円の損害賠償を支払うよう命じた。一方で、記事の削除や謝罪広告の掲載については「影響力が限定的」として請求を退けた。

原告と被告の主張、判決後の反応

永原町長は、2022年9月から2023年6月にかけて配信された計37本の記事において、町長就任前に太州会の「企業舎弟」であったと記されたことなどにより、社会的評価が低下したと主張。330万円の損害賠償と記事の削除、謝罪を求めていた。判決後、町長は「名誉毀損であることを認めていただき感謝している。速やかな記事削除を望む」とコメントした。

これに対し、ハンターを経営する中願寺純則氏は「削除も謝案も不要だが賠償金は支払えという、理解しがたい判決だ」と述べ、控訴する意向を示している。被告側は、記事の内容が真実であると反論していたが、裁判所はその主張を全面的には認めなかった。

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裁判所の判断と記事内容の検証

判決では、問題の記事が永原町長を「企業舎弟」と表現し、太州会との密接な関係を背景に大任町を支配してきたと記した点について、重要な部分が真実であると証明されたとは言えないと指摘。具体的には、町長が太州会主催のゴルフコンペの始球式に参加した事実は認められるものの、主催者や参加者を認識しての参加を裏付ける証拠は不十分とした。

さらに、町長が会長の親族から不動産を購入したとされる点についても、それだけで「企業舎弟」や「密接関係者」と断定するには「論理の飛躍がある」と判断。両者に何らかの関係が疑われる状況はあるものの、記事の記載が名誉毀損に当たると結論付けた。

賠償額が請求額を下回った理由として、裁判所は「記事の影響力は限定的であり、広範な社会的評価の低下には至っていない」と説明。この点が、削除や謝罪の請求が認められなかった背景にある。

今後の展開と社会的影響

本判決は、ネットメディアによる報道と公人の名誉権が衝突した事例として注目される。被告側が控訴する方針を示しているため、高等裁判所での審理が行われる可能性が高い。今後の判決次第では、ネット上の表現の自由と名誉保護のバランスをめぐる司法判断がさらに明確化される見込みだ。

また、地方自治体の首長と暴力団との関係をめぐる報道の在り方について、メディア側の調査精度や表現方法が問われるケースとなった。裁判所が「論理の飛躍」を指摘した点は、今後の調査報道における証拠の重要性を改めて浮き彫りにしている。

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