旧統一教会に解散命令 東京高裁が決定、教団は清算手続きへ
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、東京高等裁判所(三木素子裁判長)は2026年3月4日、高額献金の勧誘などをめぐり、文部科学省が求めた解散命令請求を認め、教団に解散を命じる決定を出した。この判断により、宗教法人法に基づく教団の清算手続きが開始されることになる。
地裁判断を支持 高裁も「甚大な被害」認定
教団に対しては昨年3月、東京地裁が「献金勧誘などにより甚大な被害が生じ、現在も看過できない程度に残存している」と認め、解散を命じていた。教団は高裁に不服を申し立てたが、高裁も地裁の結論を支持した。今回の高裁の決定によって解散命令の効力が生じ、清算手続きが正式に始まる。
今後、地裁が選任する清算人(弁護士)が教団の財産を管理し、高額献金などの被害者に対する弁済を進めていく。清算手続きは、教団の資産を整理し、債務を弁済するプロセスとなる。
80年代から続く高額献金問題 被害は1500人以上
旧統一教会は、韓国に教団本部を置くキリスト教系の宗教団体で、日本では1964年に宗教法人として認証された。1980年代には、困りごとを抱える人に対して信者らが「先祖の因縁」などを理由に高額の献金をさせる霊感商法が社会問題化した。
宗教法人を所管する文科省と文化庁は、教団に損害賠償を命じた民事裁判の判決や、170人を超える被害者へのヒアリングなどを通じて実態を把握。高額献金などについて、1980年代以降に1500人以上、約204億円に上る被害があったことを確認している。
2022年安倍元首相銃撃事件で再注目 公共の福祉害すと判断
2022年7月、奈良市内で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が銃撃されて殺害される事件が発生。銃撃した山上徹也被告は、母親が旧統一教会の信者で、「高額献金により家庭が崩壊した」とする犯行動機を述べており、改めて教団による献金被害に注目が集まった。
宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」場合、裁判所が宗教法人に解散を命じられると定めている。文科省はこの要件に該当すると判断し、2023年に解散命令を請求した。
審理の争点は「コンプライアンス宣言」後の被害継続
高裁の審理では、教団が組織体質の変革を図った2009年のコンプライアンス宣言以降も被害が続いていたと言えるかが、主な争点となった。教団側は、裁判に至らなかった示談については厳密な事実認定がされていない点を批判し、現在は「補償委員会」の設置などで被害者への返金に対応しているとして、解散命令の必要性はないと訴えていた。
しかし、高裁は地裁と同様に、教団の行為が公共の福祉を著しく害していると判断し、解散命令を支持する決定を下した。
教団は最高裁に不服申し立て可能 今後の動向に注目
今回の高裁の決定に対し、教団は最高裁に不服申し立てを行うことができる。今後の司法判断や清算手続きの進捗が注目される。この解散命令は、宗教法人に対する異例の措置であり、今後の類似事例への影響も懸念されている。
教団の清算手続きが開始されることで、長年にわたる高額献金被害への対応が本格化する見込みだ。被害者への弁済が円滑に進むかどうかが、今後の重要な課題となる。



