中東の産油国に端を発したナフサ不足により、日本の消費者がごみ袋をめぐる混乱に巻き込まれている。15日には閣僚が過剰な購入を控えるよう呼びかける事態となり、中部各県でも品薄状態の店舗が相次いでいる。自治体は代替品の活用や購入抑制の呼びかけなど、さまざまな工夫を凝らしている。
名古屋市では納品遅れ、品薄店舗も
名古屋市西区のスーパー「丸一ストアー円頓寺店」では、市指定ごみ袋のうち可燃ごみ用を中心に、ここ2週間ほど納品の遅れが生じている。プラスチックなどを入れる資源ごみ用と比べ、可燃ごみ用の棚は半分程度しか商品がない状態だ。岩田正久店長(56)は「入荷量は減っているが、仕入れ先から欠品の連絡は今のところない」と話し、大量購入する客はいないという。しかし、市内には品薄の店舗も出ている。昭和区の60代無職女性は4月末以降、45リットルの可燃ごみ袋が店頭で売り切れているのを目撃するようになり、先日はスーパーや100円ショップ、ドラッグストアを探し回って購入した。「調達に困る事態になれば、市が指定ごみ袋以外の袋でもごみを出せるよう認めてほしい」と訴える。
代替袋認める自治体も
実際、代替の袋の使用を認める自治体も出てきた。愛知県江南市では店頭での売り切れが目立ち、4月下旬以降、市には「どこで買えるのか」といった問い合わせの電話が100件以上、メールは1日5件ほど寄せられている。原因は年度をまたぐ在庫の少ない時期に買いだめが重なったためとみられ、6月上旬にはまとまった数量が納品される見通しだ。同市は今月12日から6月30日まで、透明か半透明の袋であれば指定外でも代用できる臨時措置を取っている。
三重県鈴鹿市などは今後、状況に応じて代替袋の使用を検討する方針だ。愛知県扶桑町では3種類ある可燃性ごみ袋のうち、45リットル入りの「大」が連休明けから小売店で売り切れる状態が発生。現在は町の在庫もほとんど残っておらず、他のサイズの利用を促している。町の担当者は「1年分は確保できる見通しで、品薄は一時的」と説明し、15日には大量購入を控えるよう町ホームページで呼びかけた。
名古屋市もホームページで「不確かな情報に惑わされず、冷静な行動を」と要請。福井県越前市、愛知県新城市なども必要分のみの購入を呼びかけている。
先手を打つ自治体も
先手を打ち、指定ごみ袋の素材を切り替えたのが愛知県大府市だ。現行品はナフサ由来の高密度ポリエチレンが主原料だが、製造業者から今後確保が難しくなる可能性があると連絡を受け、梱包用ラップ「ストレッチフィルム」の再生材に変更した。卸売価格は変更せず、市内ではまだごみ袋の在庫不足は起きていない。担当者は「今後も安定供給できる見込みで、心配せず購入してほしい」と強調している。
静岡県でも類似の動き
イラン情勢に伴う原油供給不安で石油由来のごみ袋が品薄になっていることを受け、静岡県内でも市町指定以外のごみ袋での排出を認める緊急措置を取る自治体が広がっている。15日には浜松市や袋井市、森町が臨時措置を発表した。
浜松市では18日から6月末まで、市指定ごみ袋に限らず透明か半透明の袋で代用できるようにする。対象はもえるごみ、もえないごみ、プラスチック製容器包装で、大きさは10~45リットル。中身が見えない袋や他の自治体指定のごみ袋は使用できない。市によると、今週に入り市民から「店舗を回っても買えない」「他の袋を使ってもいいのか」などの声が多く寄せられ、多い日には1日100件以上の問い合わせがあるという。市は製造業者から通常量の入荷が見込めるとして、過度な購入を控えるよう呼びかけている。
袋井市は燃やせる家庭ごみの収集で、指定以外のごみ袋を使える臨時措置を20日から6月30日まで実施する。使用できるのはプラスチック製かビニール製で、透明か半透明のもの。大きさは20~45リットルで、口を縛ってごみ集積所に出す。黒色など中身が見えない袋や紙袋、段ボール箱、他の自治体指定のごみ袋は使えない。同市の環境・リサイクル推進課は「指定ごみ袋は複数の企業が製造しており、例年並みの数量が供給される見込み。必要以上の購入は控えてほしい」と呼びかけている。
森町も20日から6月13日まで、町指定以外のごみ袋でも可燃ごみを出せるようにする。透明か半透明の袋で、袋には従来通り町内会名と氏名を記入する。このほか県内では、磐田、島田、富士宮、富士、御殿場、裾野、沼津、三島、伊東の各市、小山、長泉、函南の各町などで、代替を認める臨時措置の実施を決めた。



