熊本地震後に食道がんが悪化し、約4カ月後に死亡した70代女性を災害関連死と認めず、災害弔慰金を支給しなかった熊本県合志市の処分を巡り、遺族が処分取り消しを求めた訴訟で、熊本地裁は15日、請求を棄却した。野々垣隆樹裁判長は「地震と死亡との間に相当因果関係があるとは認め難い」と判断した。
地震前のがんの状態を重視
判決理由で裁判長は、女性は地震前に食道がんの術前化学療法を受けたが効果が乏しく、転移も確認されていたと指摘。「回復傾向にあったとは評価できない」と述べ、地震による療養環境の悪化や避難生活のストレスががんの経過に重大な影響を与えたとする原告側の主張を退けた。
遺族の主張と市の対応
原告側は、地震直後の医療機関の機能低下や避難所生活による強いストレスが、回復しつつあったがんの状態を悪化させたと主張していた。一方、合志市は地震と死亡の因果関係を否定し、弔慰金の不支給を決定。遺族はこれを不服として提訴していた。
- 熊本地震は2016年4月に発生
- 女性は地震後、食道がんが悪化し同年8月に死亡
- 災害関連死の認定は市区町村が審査
今回の判決は、災害関連死の認定基準を改めて問うものとなった。専門家からは、がん患者など基礎疾患がある場合の認定の難しさを指摘する声が出ている。



