点字版衆院選公報、全都道府県で作成も協力拒否する候補者も
点字版衆院選公報、全都道府県で作成も協力拒否

朝日新聞はこのほど、全国47都道府県の選挙管理委員会を対象に、選挙公報の点字版に関するアンケート調査を実施した。視覚障害者にとって重要な情報源となる点字版の発行は、民間の協力を得ながら定着しつつある一方で、候補者側が点訳への協力を拒む事例も明らかになった。

全都道府県で作成、しかし民間頼み

2月の衆院選は、解散から投開票までわずか16日間という「超短期決戦」だった。このため、視覚障害者向けの「選挙公報」が期日までに間に合わないのではないかとの懸念が関係者から上がっていた。朝日新聞は47都道府県選管にアンケートを実施し、3月末までに全選管から回答を得た。

点字版発注の実態

「先の衆院選で点字版を発注したか」との質問に対し、すべての選管が「発注した」と回答。投票期間中に希望者全員に届けられたかについては、「はい」が32、「いいえ」が1、「不明」が14だった。「いいえ」と回答した自治体は、理由として「道路の除排雪が追いつかず、宅配便の配達が困難な地域があったため」と説明。不明と回答した自治体は、「今回は希望数量を把握する余裕がなく、前回の衆院選の送付先情報を活用した」「必要部数の検討・配布は市町村選管が実施している」「県視覚障害者福祉協会に未登録の方がいる可能性があるため」などを挙げた。

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過去5年間の発注状況

過去5年間の選挙での発注状況についても尋ねたところ、国政選挙や知事選(統一地方選を含む)ではすべての都道府県が「発注した」と回答。一方、都道府県議選では11の選管が「発注していない」と回答した。

配布部数は3万部未満、課題残る

アンケートでは、2月の衆院選で全都道府県が「発注・配布した」と回答したが、国の資料によると、配布部数は全県合わせても3万部に満たない。視覚障害を理由に障害者手帳を持つ人は30万人以上おり、需要に対して供給が不足している実態が浮き彫りになった。

また、国政選挙などでは候補者側の協力が不可欠だが、点訳への協力を拒む候補者もいることが今回の調査で判明。点字版作成には候補者の政策文書を点訳する必要があるが、協力を得られない場合、情報の完全な提供が難しくなる。視覚障害者の投票権を保障する上で、候補者の理解と協力が求められる。

今後の課題

点字版選挙公報の作成は民間団体の協力に大きく依存しており、特に短期決戦の選挙では時間的制約が課題となる。また、都道府県議選など地方選挙では発注自体が行われないケースもあり、視覚障害者への情報提供の地域格差が懸念される。朝日新聞の調査は、障害者の政治参加を促進するための環境整備の必要性を改めて示している。

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