富士山ふもとの道の駅で無許可営業続く、業者が町に示した退去条件とは
富士山ふもとの道の駅で無許可営業、業者の退去条件

富士山に最も近い道の駅「すばしり」(静岡県小山町)で、町から運営を委託された地元業者が契約終了後も「無許可」で営業を続けている問題について、町長は28日の定例会見で「不法に占領している」と強く非難した。この異例のトラブルは、人口約1万7千人の小さな町で発生し、業者が町に提示した退去条件など交渉の詳細が徐々に明らかになってきた。

町長が語る業者との関係と交渉の経緯

込山正秀町長は、営業を続ける地元企業「観光開発」の社長について「よく知っている人だ」と述べ、「できれば話し合いで解決したかった」と悔しさをにじませた。町は水面下で施設の円滑な移譲に向けて交渉を重ねてきたが、決裂の要因として、同社が契約期間中の2023年ごろに5千万円以上を投じて実施した施設改修が挙げられる。

町との協定では、原状回復工事を行った上で明け渡すことが義務付けられている。同社は契約満了後の4月から工事をすればよいと解釈し、1月に町に伝えたが、町は「契約中に工事を終えるのが前提」と反発。さらに同社が工事に数カ月かかる見通しを示したため、町は次の指定管理者が4月から営業できなくなることを懸念し、現状のままの明け渡しを要求した。これに対し同社は金銭補償を求め、交渉は平行線をたどった。

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業者が提示した3パターンの退去条件

会見では、同社が町に突きつけた施設明け渡しのための3パターンの条件案が明らかになった。

  • 第一案:「5100万円を補償すれば直ちに現状のまま引き継ぐ」
  • 第二案:「2000万円の補償で今年6月末を限りに引き継ぐ」
  • 第三案:「補償を求めず8月末を限りに引き継ぐ」

町はいずれの提案も拒否。同社の改修費用には国の補助金も含まれていたといい、込山町長は「一つも飲めない条件だった」と憤った。町は近日中に同社に対し、建物からの退去や土地の明け渡しなどを求めて提訴し、仮処分も申し立てる方針だ。

「通常営業」続く道の駅の現状

「無許可」で同社が営業を始めて約1カ月。道の駅「すばしり」は現在、どのような状況なのか。記者が28日に訪れると、トラブルを伝える貼り紙などはなく、足湯も含めて「通常営業」が続いているように見えた。昼時のレストランでは約30人の外国人観光客が和食を楽しみながら、間近に迫る富士山の写真を撮るなどしていた。

しかし、売り場の商品は今月上旬に訪れた時よりも減少している印象を受けた。同社の代理人弁護士によると、商品の納入を見合わせる取引業者も出始めているという。

利用者の声と今後の見通し

施設を頻繁に利用する男性(60)は「売られている野菜などの品数が減ってしまった。閉店セールのようだ」と嘆き、「ここまでこじれるのは町にも責任がある。早めに手を打つべきだった」と批判した。一方、ツーリングで立ち寄った山梨県の自営業の50代男性は「契約は終わったのだから、立ち退かないのはおかしい」と指摘し、「利用者が多い施設なので、閉鎖しないでほしい」と先行きを心配した。

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