子ども用いす「トリップ・トラップ」に著作権認めず 最高裁判決
子ども用いす「トリップ・トラップ」に著作権認めず 最高裁

最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は24日、ノルウェーのベビー用品メーカー「ストッケ」が販売する子ども用いす「トリップ・トラップ」について、著作権は認められないとの判断を示した。同社は、類似製品を販売する兵庫県の家具メーカー「Noz」に対し、著作権侵害を理由に販売差し止めや損害賠償を求めていたが、最高裁はこれを退けた。

争点となった著作権と意匠権の違い

家具などの実用的な工業製品のデザインは、特許庁に認められた「意匠権」により25年間保護される。一方、著作権法が定める「著作権」は、出願や登録が不要で、保護期間は著作者の死後70年までと長い。裁判では、デザイン性の高い家具に著作権が認められるかどうかが争点となった。

ストッケ社の主張

ストッケ社は、トリップ・トラップをデザインしたノルウェーの著名デザイナー、ピーター・オプスヴィック氏の個性が発揮され、芸術作品としての評価が確立していると主張。美的鑑賞の対象となりうる特性を備えているとして、著作権が認められるべきだと訴えた。

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トリップ・トラップは、子どもの成長に応じて足を乗せる板や座面の高さを調整できる機能を持ち、日本では1970年代から輸入販売され、1990年度からの約30年間で110万台以上が販売された人気商品である。

知財高裁の判断

一審の東京地裁は2023年、双方の製品は「形態が明らかに異なる」として著作権侵害にあたらないと判断し、ストッケ社の請求を退けた。二審の知財高裁は2024年、実用品のデザインに著作権を認めると、企業側が許諾を得なければならない場面が増え、権利関係が複雑になると指摘。デザインに創作性があっても「意匠法による保護で足りる」とし、一審判決を支持した。

知財高裁は、例外的に著作物にあたる場合として、①形状が実用的な機能を離れて独立に美的鑑賞の対象となる部分がある、②実用品がもっぱら美的鑑賞のために作られた——場合に限るとの基準を示し、トリップ・トラップはそのいずれも満たさないと結論づけた。

最高裁の判断と今後の影響

最高裁は知財高裁の判断を支持し、著作権は認められないと決定。この判決により、実用的な家具のデザイン保護は引き続き意匠権に委ねられることとなり、著作権の範囲が拡大されることは回避された。専門家は、実用品と美術作品の線引きが明確になり、産業界の権利関係の安定につながると評価する一方、デザイナーの創造性を保護する仕組みのあり方に議論を呼ぶ可能性もある。

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