岐阜県立高校教諭の自死、公務災害認定 妻「同じ悲劇繰り返さないで」
岐阜県立高校教諭の自死、公務災害認定 妻訴え

岐阜県立高校に勤務していた男性教諭(当時37)が2022年4月に勤務先で自死した問題で、地方公務員災害補償基金の岐阜県支部が、遺族からの公務災害申請を認める決定をしたことが4日、明らかになった。決定日は3月31日付。教諭は運動部の顧問を務めており、時間外勤務のほとんどが部活動の指導や対外試合の引率に充てられていた。

長時間労働と連続勤務の実態

教諭の妻(42)や代理人弁護士らが4日に岐阜県庁で記者会見し、公務災害認定の経緯を説明した。基金の認定によると、教諭は2021年秋に月100時間近い時間外勤務があり、冬には32日間連続の勤務を強いられていた。これにより、自死当日までに強度の業務負荷によるうつ病を発症していたと判断された。

教諭は自死の10日ほど前にも、部活の練習試合のために2日連続で、生徒を車に乗せて片道2時間の距離を引率していた。妻は会見で「夫は土日もほとんど部活動に費やしていた。県教育委員会には、夫のように死を選ぶ人が二度と生まれないようにしてほしい」と涙ながらに訴えた。遺族は今後、民事訴訟も視野に、県に対して損害賠償を請求する方針だ。

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県教育長のコメント

岐阜県教育委員会の堀貴雄教育長は「公務災害の認定を重く受け止め、職場環境の整備や適切な職場管理を一層徹底する」とのコメントを発表した。

過労死の現状と課題

公務災害を認定する地方公務員災害補償基金(東京)によると、2019年度から2024年度までの6年間で、公立学校教職員の過労死と認定された件数は46件に上る。2019年度の14件以降は1桁台が続いているものの、2024年度も4件が認定されており、過労死は依然として根絶されていない。

過労死問題に詳しい松丸正弁護士(79)は、問題の根本が1971年に制定された「教員給与特別措置法」(給特法)にあると指摘する。この法律は残業代を支払わない代わりに給与を上乗せする内容で、「聖職」意識を持つ教員が勤務時間を管理職に把握されないまま、長時間勤務を強いられてきたという。

状況改善のため、文部科学省は2019年に勤務時間の上限目安を示すガイドラインを策定。客観的な出退勤記録が義務付けられ、教育現場にも働き方改革の考え方が浸透し始めた。長時間勤務をする教員は減少傾向にあるものの、「部活動で長時間勤務をしている教員はまだまだいる」との指摘もある。

松丸弁護士は「教員の過労死が『熱血先生の美談』として語られ、責任が問われることなく曖昧に終わっている」と問題視する。公務災害に認定された後、設置自治体を相手に損害賠償訴訟を起こすケースは少数にとどまっている。松丸氏は「裁判例を積み重ねることで、責任の所在を校長や教育委員会へ明確化でき、勤務時間の抜本的な是正につながる」と期待を寄せた。

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