大学保管アイヌ遺骨、返還わずか5%
全国10大学が研究目的で墓などから収集したアイヌ民族の遺骨約1500体のうち、国の対応指針が策定された2018年以降、アイヌ団体側に返還されたのは83体(約5%)にとどまることが3日、共同通信の調査で分かった。過去に大学研究者が遺骨を不適切に収集・管理していたことで身元特定が難航。返還申請には引き渡し先として適格かどうかなどを書面で証明する必要があり、団体側の障壁となっている現状もうかがえる。
調査の概要
調査は、18年時点で学内に遺骨を保管していた12大学を対象にアンケートを3月に送付。国が指針を公表した18年12月から今年2月末までの返還状況などについて質問し、天理大、岡山理科大を除く10大学が回答した。
返還実績と現状
その結果、アイヌ団体側に返還されたのは札幌医科大37体、東京大35体、新潟大7体、京都大4体の計83体だった。1300体は、身元が分からず返還困難と大学側が判断。指針に基づき、北海道白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)にある慰霊施設に移管された。現在82体が返還に向け各大学に保管されていることも分かった。
身元特定の難航は、過去の不適切な収集・管理に起因する。研究者が遺骨の出所や個人情報を十分に記録せず、墓からの無断収集も行われたため、誰の遺骨か判別できないケースが多い。また、返還申請には団体の資格証明や遺骨との関係性を示す書類が必要で、アイヌ団体側にとって手続き上の負担となっている。
今後、残る遺骨の返還を進めるには、DNA鑑定などの科学的な手法による身元特定や、申請手続きの簡素化が課題となる。国や大学は、アイヌ民族の遺骨返還をより円滑に進めるための対策を求められている。



