ニセ警察詐欺で258万円相当の暗号資産を送金、男性が後悔の思いを語る
昨年秋、新潟県五泉市に住む40代の男性が、巧妙なニセ警察詐欺の被害に遭い、約258万円相当の暗号資産をだまし取られた。男性は報道陣の取材に応じ、事件の詳細と後悔の念を明らかにした。複数の男が犯罪への関与や逮捕をほのめかす手口で被害者を追い込み、「どこかで助けを求めるサインを出せれば」と唇をかんだという。
偽の警察官らによる巧妙な手口
事件は昨年9月10日午後、自宅に携帯電話会社の社員を名乗る「アオキ」という男からの電話で始まった。「個人情報が不正に使われている」と告げられた男性は、その後、福岡県警の警察官をかたる「カワムラ」という別の男につながった。カワムラは、銀行口座やクレジットカードが不正に作られたことを理由に、「逮捕や起訴の可能性がある」と説明し、男性の不安をあおった。
警察官を名乗る男は、「大きな犯罪集団の詐欺行為に巻き込まれ、あなたは仲間の一人だ。証拠が出てきた」と主張。偽の逮捕状などが送られてくるにつれ、男性の不安は募り、思わず「どうしたらいいんですか」と問いかけてしまったという。
捜査名目で暗号資産を送金
警察官は「身の潔白を証明する優先捜査のために、私が責任を持って検事にかけあう」と述べ、福岡地検の検事「スドウ」を紹介。秘匿性の高いメッセージアプリ「テレグラム」を使用して、検事とのやりとりを進めた。同月30日、男性は捜査名目で計約258万円分の暗号資産を送金。その後、さらに金銭を要求されたことなどを不審に思い、被害に気づいた。
男性は警察官らと一度も顔を合わせなかったが、事件に巻き込まれた不安や、捜査に協力するという相手の姿勢からだまされてしまった。「なんであんなに信用したんだろう。でも、何とかなるかもしれないという藁にもすがる思いだった」と振り返る。取材中はスマホを握りしめ、時折画面を見つめてニセ警官とのやりとりを思い返していた。
県内の特殊詐欺被害は過去最多
新潟県内の昨年の特殊詐欺は、認知件数が前年比89件増の293件、被害額が同5億5382万円増の14億5260万円(いずれも暫定値)で、ともに過去最多を記録した。警察官らをかたる「ニセ警察詐欺」が全体の4割以上を占めている。
県警生活安全企画課によると、警察官などをかたりLINEといったSNSを利用して現金をだまし取るニセ警察詐欺の被害が顕著だ。被害の認知件数は同44件増の135件、被害額は同6億1213万円増の10億638万円に上った。
若年層にも広がる被害
年代別の被害者内訳は以下の通り:
- 10歳代:1人
- 20歳代:9人
- 30歳代:22人
- 40歳代:14人
- 50歳代:20人
- 60歳代:20人
- 70歳代:34人
- 80歳代:14人
- 90歳代:1人
高齢者だけでなく、20~30歳代の若年層にも被害が広がっていることが特徴的だ。さらに、SNS型投資・ロマンス詐欺は同37件増の169件で、被害額は同6億1970万円増の20億6042万円だった。
警察からの注意喚起
同課の菅野麻由子安全安心推進室長は、「警察官がSNSを利用して連絡することは絶対にない。お金の話が出たらすぐに詐欺を疑ってほしい」と強調している。男性も「自分と同じような被害に遭う方が少しでも減ってほしい」と願い、詐欺被害の根絶を訴えている。