熊本県八代市の新庁舎建設工事をめぐる汚職事件で、特定の業者に入札などで便宜を図った見返りに得た現金について、市議らが疑惑の追及を受ける最中に資金洗浄(マネーロンダリング)したとして、再逮捕された。捜査関係者への取材で、多額の現金が業者から市議、そして口座へと流れていく過程が浮かび上がった。
6千万円の現金、スーツケースで運搬
市議は議長経験もある成松由紀夫容疑者(54)。捜査関係者によると、2021年6月、前田建設工業九州支店の社員2人は、帯封がついた大量の札束をスーツケースに詰め込んだ。その額6千万円。受け渡し場所に指定されたのは、成松市議とともに逮捕された元市議の自宅だった。
社員は成松市議の車に先導されて元市議宅に到着すると、応接室へと案内された。成松市議は社員から現金を手渡されると、元市議とともに麻のような袋に入れたという。この現金6千万円について、警視庁は、新庁舎建設工事で前田建設工業に入札などで便宜を図った見返りに得た賄賂とみている。
百条委員会設置から4カ月後、東京へ
新庁舎が完成したのは22年。25年に入札などをめぐる不正疑惑が浮上し、市議会が12月に真相を究明するために調査特別委員会(百条委員会)を設置した。その4カ月後、26年4月5日夕、成松市議と元市議は新八代駅から新幹線に乗り込み、東京へ向かった。
夜に新横浜駅で下車すると、ウェブ制作会社役員を務める知人ら男2人が車で出迎えたとみられる。その後、午後11時半ごろ、知人ら2人とともに複数のコンビニエンスストアを回り、約2000万円を40回程度に分けてATMから入金した疑いが持たれている。この行動は、資金洗浄を目的としたものとみられ、警視庁は詳しい経緯を調べている。
成松市議は「不当逮捕だ」と主張しており、今後の裁判の行方が注目される。



