15歳少年による商業施設刺殺事件、親の責任問う控訴審判決が25日に福岡高裁で言い渡し
15歳少年の殺人事件、親の責任問う控訴審判決25日に (21.03.2026)

15歳少年による商業施設刺殺事件、親の責任問う控訴審判決が25日に福岡高裁で言い渡し

福岡市の大型商業施設で2020年、客の女性(当時21歳)が当時15歳の少年に刺殺された事件を巡り、遺族が少年の母親に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3月25日、福岡高等裁判所で言い渡される。昨年3月の1審判決では、母親が事件時点で約4年半同居しておらず、生活状況を把握できていなかったことなどから、監督義務違反を否定し、請求を棄却した。今回の控訴審では、親の賠償責任の有無が最大の争点となり、判決が注目を集めている。

事件の背景と1審判決の概要

刑事事件の確定判決によると、少年は幼少期に家族から身体的・性的虐待を受け、小学3年頃から暴力行為を繰り返していた。2016年以降、児童自立支援施設や少年院の入退院を経て、2020年8月に少年院を仮退院したが、母親から身元引き受けを拒否され、更生保護施設に入所した。しかし、1日で抜け出し、福岡市の商業施設で包丁を盗み、女性を刺殺する事件を起こした。

遺族側は2023年3月、少年と母親を相手取り、約7800万円の損害賠償を求めて提訴。1審判決では、少年に対しては約5400万円の賠償を命じたが、母親については同居していなかったことや事件の予見が困難だったとして、監督義務違反を否定し、請求を棄却した。少年への賠償命令は確定したが、支払いは行われていない。

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控訴審での争点と双方の主張

控訴審では、母親が少年を指導・監督する義務を果たしていたか否かが焦点となっている。遺族側は、少年が刑事裁判で「母親の元に帰れると期待していた」と述べていたことから、身元引き受けを拒否すれば精神的に不安定になり、事件を予見できたと主張。親として最大限の支援を行う義務があったと訴えた。

一方、被告側は、少年が長期間少年院などに入所し、同居は事件の4年半以上前だったため、親権者としての影響はないと反論。少年院からの通知に「粗暴性が解消されつつある」と記載されており、事件の予見は困難だったと主張している。

専門家の見解と類似事例

中央大学の前田太朗教授(民法)によると、子どもの犯罪を巡る親の賠償責任は、少年の年齢や危害の予見可能性などで判断が分かれるという。例えば、2006年の最高裁判決では、19歳の少年らが仮退院後に起こした強盗傷害事件で、成人に近い年齢や特段の非行がなかったことから、親への賠償を認めなかった。

前田教授は、今回の訴訟では15歳という年齢を考慮し、母親が仮退院時に引き取る義務があったか、危害の可能性を認識していたかが焦点だと指摘。過去には、15歳の少年が下級生を殺害した事件で、親の人格形成への影響を重視して賠償を認めたケースもあり、少年の人格形成に母親がどう関わったかも判断材料になり得るとしている。

被害者遺族の思いと今後の展開

被害女性の母(50歳代)は、事件から5年半が経過した今も、フラッシュバックに苦しみ、薬なしでは眠れない状態が続いている。2月の法廷では、声を詰まらせながら「親としての義務を果たさなかったことで殺人事件につながった」と意見陳述し、母親の責任を強く訴えた。

被害女性の母は、「男に支払う意志も能力もなく、事件の責任は当時15歳だった男だけではないはずだ。納得できる判決を期待している」と語る。控訴審判決は、親の監督責任の範囲を明確にする重要な判断となり、今後の類似事例にも影響を与える可能性がある。

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