解散決定から1時間、清算人20人が教団本部に突入
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する前例の少ない宗教法人清算手続きが、驚くべき速さで始動した。東京高等裁判所が解散を命じる決定を下してからわずか約1時間後の2026年3月4日正午ごろ、清算人や代理人、警備員を伴った約20人の集団が、東京都渋谷区の高級住宅街に位置する教団本部に進入したのである。
業務停止命令と情報収集の即時実施
教団関係者によれば、清算人らは直ちに「業務を停止してください」と指示を出し、パソコンなどのパスワードの提出を要求した。清算チームは財務、人事、労務といった部門ごとに分かれて組織的な情報収集を開始し、作業は同日午後7時ごろまで継続された。職員たちは私物をまとめるよう求められ、5日以降は自宅待機を指示されることとなった。
教団は公式ホームページや内部ポータルシステムへのアクセスを遮断され、組織内外に向けた公的なメッセージ発信手段を大幅に制限された。これにより、旧統一教会としての活動は事実上停止状態に追い込まれたのである。
全国280施設への波及 通帳・現金・鍵を没収
清算人らは4日から、全国に約280ある教会などの関連施設にも順次進入を開始した。山口県下関市の下関家庭教会では、同日午後2時ごろに「清算人代理人」を名乗る男性3人が突如として現れた。
教会幹部の証言によると、清算人らは1階の応接室で会計担当者ら4人と対応し、清算業務について説明を行った後、通帳や現金の提出を要求。さらに信者と献金者名簿の提出も求め、「私物はお持ち帰りください」と告げて教会の鍵を没収したという。
午後5時ごろ、職員らは清算人代理人と共に教会を後にし、扉には「清算人の許可なく本施設に立ち入ることができません」と書かれた告示が貼り付けられた。教会幹部は「差し押さえの紙のようで、ショックは大きかった」と心情を明かしている。
信者の衝撃「全ての思い出が否定された」
数十年にわたりこの教会に通い続けてきたという教会幹部は、清算人らの進入について「いよいよ現実化したのだ」と茫然自失の状態であったことを認めた。「この教会に数十年通ってきた。全ての思い出が否定されたような気持ちでした」と語り、長年にわたる信仰生活の基盤が突然失われたことへの深い悲しみと困惑をにじませた。
教団は9日、東京高裁の決定を不服として最高裁判所に特別抗告を提出しているが、清算手続きは抗告の有無にかかわらず進行している。宗教法人に対するこれほどの迅速かつ大規模な清算措置は極めて異例であり、今後の展開が注目される。
各地の教会では、毎週日曜日の礼拝がユーチューブを介したオンライン形式で継続されているものの、物理的な施設を使用できない状態が続いており、信者コミュニティの維持が課題となっている。前例の少ない宗教法人清算プロセスは、今後どのような段階を経て進展していくのか、関係者の視線が注がれている。



