AIカメラ開発会社「メタモ」を巡る大規模詐欺事件、上場偽り約110億円集金か
AI(人工知能)を搭載したカメラの開発をうたう会社「メタモ」(東京)を巡る詐欺事件で、福岡県警と長崎県警が全容解明に向けて捜査を継続している。社長の被告(41歳)は、上場すると偽って自社株の販売名目で現金をだまし取ったとして、詐欺罪で起訴された。両県警は、被告が勧誘役の知名度を悪用したり、架空のインタビュー記事で信用させたりする手法を用いて、福岡や東京、熊本などの少なくとも約900人から約110億円を集めたとみて、詳細を調べている。
勧誘役の男女経営者も関与、不起訴処分に
福岡県警察本部によると、積極的に勧誘を行っていたとされる女性と男性経営者は、被告とともに昨年11月に金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されたが、その後不起訴となった。被告も同法違反については不起訴となったものの、詐欺罪で起訴されている。両県警は、ほかにも勧誘役が10人程度いたとみており、事件の背景を探っている。
昨年12月下旬、読売新聞の取材に応じた男性経営者は、「多くの人に迷惑をかけ、反省している」と謝罪の言葉を口にした。無登録での勧誘行為が違法との認識はあったものの、「上場すれば問題ないと軽く考えていた」と話し、自身だけでなく家族や親戚も株を購入したという。彼は「今は悪者扱い。信用も失った」と語り、事件の影響を嘆いた。
女性勧誘役は地域振興に尽力、知名度悪用か
一方、捜査関係者によると、女性勧誘役は元々株の購入者で、後に勧誘役に転身した。アドバイザーとして被告から約3000万円を受け取っていたとされる。長崎県内の経済団体幹部の話では、女性は佐世保市内で自治会長を務め、国際交流の窓口となる市民団体を発足させるなど、地域振興にも積極的に取り組んでいた。夫を通じて女性に取材を申し込んだが、応じなかったという。
複数の出資者が両県警に対し、「女性と男性経営者が勧めるので投資話を信じた」などと説明している。両県警は、女性と男性経営者の詐欺行為への直接的関与は薄いと判断しており、被告が2人の地元での知名度を利用して勧誘を行わせていたとみている。事件は、AI技術をめぐる投資ブームの中で、巧妙な手口が用いられたケースとして注目を集めている。



