福島県で初めて保険診療によるアルミノックス治療を実施、切除不能な頭頸部がんに新たな光
福島医科大学病院は、切除不能な頭頸部がんに対する保険診療の治療法「アルミノックス治療」を県内で初めて実施し、計画された治療を安全に完了したことを発表しました。この治療法は、光を感受する薬剤をがん細胞に付着させ、レーザー光を照射することで局所的にがん細胞を破壊する革新的な手法です。手術や放射線治療、薬物療法といった従来の標準的な治療が困難な場合や、再発時の治療選択肢が増えることで、これまで首都圏などの限られた施設でしか受けられなかった治療が、福島県内でも可能になりました。
アルミノックス治療の仕組みと特徴
アルミノックス治療は、頭頸部がんのうち、切除できない場所に存在したり、切除すると呼吸や食事など生命維持に不可欠な機能が損なわれたりする「切除不能ながん」や再発したがんを対象とした治療法で、2021年に保険診療として認可されました。治療の実施には専門医や施設などの厳格な要件を満たす必要があり、これまで福島県内には治療可能な施設がありませんでした。
治療のプロセスは、まずがん細胞の表面にあるたんぱく質に結合する性質を持つ薬剤を点滴し、約1日かけてがん細胞に集積させます。翌日にはレーザー光を照射し、光に反応した薬剤によってがん細胞を破壊します。その後、光線過敏症を防ぐため、直射日光を避けた環境で約2週間の入院が必要となります。この方法では、薬剤が結合したがん細胞を局所的に破壊するため、周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑え、形や機能を残したまま治療できる可能性が高いとされています。
専門医による共同診断と治療体制の構築
福島医科大学病院では、今回の初めての治療実施にあたり、歯科口腔外科と耳鼻咽喉科頭頸部外科が共同で診断と治療を実施しました。口の中と喉・鼻の両領域をカバーするダブル専門医体制を整えることで、レーザー照射の角度や手法など、最適な治療を選択できる環境を構築しました。
歯科口腔外科の金子哲治准教授(48歳)は、「本県の頭頸部がん治療において大きな一歩を踏み出しました。治療後の経過を慎重に見守りながら、患者さんの生活の質向上を目指していきます」とコメントしています。また、耳鼻咽喉科頭頸部外科の室野重之教授(58歳)は、「耳鼻咽喉科と歯科口腔外科がタッグを組むことで、より精密な診断と治療が可能になりました。今後も診療科の垣根を越え、県内の医療水準の向上に貢献していきたい」と述べています。
頭頸部がんの重要性と生活への影響
頭頸部とは、頭蓋底部から下、鎖骨より上の顔や首の領域を指し、この範囲に含まれる鼻・副鼻腔、口腔、咽頭・喉頭、唾液腺、甲状腺などに発生するがんを総称して「頭頸部がん」と呼びます。頭頸部には呼吸や食事など生命維持に不可欠な機能や、発声、味覚、聴覚など日常生活を送る上で重要な機能が集中しているため、がん治療は患者の生活の質に大きな影響を及ぼします。アルミノックス治療の導入により、福島県内の患者は、より身体への負担が少なく、機能を温存できる治療オプションを手に入れることができました。



