アルツハイマー病の認知機能低下、ペプチド減少が原因か 名古屋市立大学と岐阜薬科大学が発表
アルツハイマー病の認知機能低下、ペプチド減少が原因か

名古屋市立大学と岐阜薬科大学の研究チームは5日、脳の海馬で生成されるペプチドが減少することで認知機能が悪化することを、アルツハイマー病の状態を模したマウスを用いた実験で明らかにしたと発表した。このペプチド量が増加すると認知機能が改善されることも確認され、アルツハイマー病に対する新たな治療薬の開発に結びつく可能性が示唆されている。研究成果は米国の科学誌に掲載された。

「海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチド(HCNP)」とは

このペプチドは「海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチド(HCNP)」と呼ばれ、記憶に深く関わる神経伝達物質の生成に関与している。名古屋市立大学のこれまでの研究では、物忘れが気になり始める軽度認知機能障害の患者、特にアルツハイマー病の初期段階にある患者の脳内で、このペプチドが減少していることが判明していた。

マウス実験で確認された因果関係

研究チームはアルツハイマー病のモデルマウスを用いて実験を実施。遺伝子操作によりHCNPを生成できないようにしたマウスでは、通常よりも約3カ月早く認知機能の低下が観察された。一方、認知機能に影響を及ぼす他の物質には有意な減少は見られず、HCNPが認知機能に直接的な影響を与えていることが突き止められた。

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アルツハイマー病治療の新たな可能性

認知症の約6割を占めるアルツハイマー病は、異常なタンパク質の蓄積により神経細胞が死滅することで発症するとされている。現在、異常タンパク質を減少させる治療薬は存在するが、認知機能の改善効果は約30%にとどまっている。研究チームは、HCNPを増加させる薬剤を開発できれば、認知機能の維持や改善においてより高い効果が期待できるとしている。

名古屋市立大学の松川則之教授(神経内科学)は、「ペプチドを増やす薬が実用化され、既存の異常タンパク質を減らす薬と併用することで、アルツハイマー病と診断された患者の認知機能低下をさらに緩和できる可能性がある」と述べている。

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