リチウムイオン電池火災が過去最多を記録、モバイルバッテリーの急増が深刻化
総務省消防庁は、2025年にリチウムイオン電池が原因で発生した火災が全国で1297件に上り、統計を開始した2022年以降で最多となったとする調査結果を発表しました。前年と比較すると、全体で315件の増加を示しており、安全対策の強化が急務となっています。
モバイルバッテリーからの出火が急増、全体の約4割を占める
特に注目されるのは、スマートフォンなどの充電に使用されるモバイルバッテリーからの出火件数です。2025年には482件を記録し、2022年と比べて約4倍に急増しました。これは全体の火災件数の約4割に相当し、バッテリーの普及が増加の背景にあると消防庁は分析しています。
内訳を詳しく見ると、以下のようになっています:
- スマートフォンなどの携帯電話:93件(前年比8件増)
- 電動工具:86件(前年比3件減)
- モバイルバッテリー:482件(前年比192件増)
このデータから、モバイルバッテリーの出火が全体の増加を大きく押し上げていることが明確に示されています。
出火原因の詳細と違法製品の影響
モバイルバッテリーの出火原因を分析すると、以下の主要な要因が挙げられています:
- 外部からの衝撃:41件
- 車内など高温下での使用・保管:23件
- 製品の欠陥:18件
総務省によれば、電気用品安全法で定める技術基準に適合したことを示す「PSEマーク」のない製品の販売は、2019年2月から禁止されています。しかし、消防庁は違法品や購入から時間が経過して劣化した製品が火災増加の一因となっている可能性を指摘しています。
廃棄時の分別不備も火災増加に拍車
さらに問題となっているのは、廃棄されたリチウムイオン電池から出火するケースです。2025年には、ごみ収集車など回収中の火災が213件発生し、前年比33件増で、これも2022年以降で最多となりました。
市区町村によって廃棄時の分別区分が「危険ごみ」「電池」「不燃ごみ」などと異なっているため、消防庁の担当者は「廃棄時には改めて分別区分を確認してほしい」と強く呼びかけています。適切な処理が行われないことが、火災リスクを高めている現状が浮き彫りになっています。
今回の調査結果は、リチウムイオン電池の安全性に対する継続的な注意と対策が不可欠であることを示しています。消費者は使用時だけでなく、廃棄時にも細心の注意を払う必要があり、関係機関による啓発活動の強化が期待されます。



