給付付き税額控除の制度設計案、東京財団が具体的試算を公表
政府が本格的に検討を進めている給付付き税額控除の導入について、民間シンクタンクの東京財団が2026年4月20日、詳細な制度案を提言した。同財団の試算によれば、年収130万円から300万円までの勤労者を対象に、年間最大20万円を給付する場合、必要な財政規模は約2.8兆円に上るとしている。
中低所得層の手取り増加を目指す政府方針
政府は、他の先進諸国と比較して税負担や社会保険料が重いと指摘される「中低所得層」の実質的な可処分所得を増やすため、給付付き税額控除の導入を検討している。この制度は、一定の所得以下の世帯に対して税額控除に加えて現金給付を行うもので、働く意欲を損なわない形での所得再分配が期待されている。
東京財団がこの日発表した提言では、制度導入初期の事務負担軽減を考慮し、まずは税の控除部分を除外した「給付のみ」の制度設計を提案。対象は社会保険料を納めている一定以上の収入がある勤労者個人に限定し、年金受給者などは除外する方針を示した。
対象範囲と財政負担の詳細試算
同財団が示した具体的な試算内容は以下の通りである:
- 給付対象:年収130万円から300万円までの勤労者
- 給付上限額:年間最大20万円
- 必要財政規模:約2.8兆円
- 制度対象者:社会保険料納付中の勤労者個人(年金受給者は対象外)
この試算は、政府が現在進めている税制改革議論に具体的な数値を提供するものとして注目されている。給付付き税額控除は、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の重要な政策ツールの一つとして位置づけられており、今後の制度設計において東京財団の提言が参考にされる可能性が高い。
有識者による制度設計の方向性
同日開催された記者会見では、森信茂樹・東京財団シニア政策オフィサーをはじめ、佐藤主光・一橋大学教授、土居丈朗・慶応義塾大学教授、小黒一正・法政大学教授らが出席し、制度設計の具体的な方向性について説明を行った。
専門家らは、給付付き税額控除の導入にあたっては以下の点が重要であると指摘している:
- 勤労意欲を阻害しない設計
- 事務手続きの簡素化
- 財政負担の持続可能性
- 既存の社会保障制度との整合性
政府は今後、有識者会議での議論を経て、給付付き税額控除の具体的な制度設計を進める方針であり、2026年度中の制度導入を目指している。東京財団の試算は、こうした政策議論に具体的な数値目標を提供するものとして、今後の税制改革の行方に影響を与えることが予想される。



