広島地検の検事自死訴訟で和解が成立 国が1億9400万円の支払いを約束
広島地方検察庁公判部に所属していた男性検事(当時29歳)が2019年に自死したことをめぐり、遺族が国に対して賠償を求めた訴訟において、2026年2月13日に東京地方裁判所で和解が正式に成立しました。この和解において、国側は上司らの対応が不適切であったことを明確に認め、解決金として1億9400万円を支払うことなどを内容とする合意がなされました。
長時間労働と上司の叱責が背景に
男性検事は2019年12月、広島市内の自宅マンションで亡くなりました。遺族側は、月80時間を超える時間外労働が常態化する中で、上司から強い叱責を受け続けていたことを指摘し、公務災害の申請を行っていました。法務省は時間外労働の事実を認めて公務災害と認定したものの、上司の言動に関する具体的な評価は行われていませんでした。
今回の和解で国側は、男性の自死が業務に直接起因するものであることを認め、当時の広島地検次席検事をはじめとする上司の対応が不適切であったと正式に表明しました。これにより、遺族に対する賠償責任を明確にした形となります。
再発防止策として具体的な措置を実施へ
和解の内容には、以下のような再発防止に向けた具体的な措置が盛り込まれています:
- 各地検の幹部に対して、職員の在庁時間を適切に管理するための通知を発出
- 外部のハラスメント相談窓口の周知徹底を推進
- 職場環境の改善に向けた継続的な取り組みを実施
これらの措置は、同様の悲劇が二度と繰り返されないようにすることを目的としており、国側が制度的な改革に取り組む姿勢を示しています。
遺族と地検側のコメント
和解成立後に会見した男性の父親は、「子どもが希望を持って入った職場で、二度とこんな事案が起きないことを目指してきた。お題目で終わらず、環境改善に向けた努力を続けてほしい」と訴えました。遺族の切実な願いが、今後の職場改革への強い期待として表明されました。
一方、広島地検の岡田馨之朗次席検事は、「本件のような事案が二度と発生しないよう、職員が心身ともに健康で職務に精励できる環境の醸成に努める」とコメントし、再発防止への取り組みを約束しています。
この訴訟の和解は、公務員の労働環境やメンタルヘルス対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。国が多額の賠償金を支払うとともに、再発防止策を具体的に示したことで、今後の職場環境の改善が強く求められる結果となっています。