衆院選で二重投票寸前の事態 網走市議が期日前投票後に当日も受け付け
先月8日に投開票が実施された衆院選において、北海道網走市の現職市議(43歳)が、期日前投票を済ませていたにもかかわらず、投票日当日に投票所を訪れ、受け付け手続きを行っていたことが明らかになりました。この行動は、あわや二重投票に繋がりかねない重大な事態として、選挙の公正性に疑問を投げかけています。
「制度の正常性を確認するため」と釈明する市議
朝日新聞の取材に対して、この市議は事実関係を認め、次のように説明しました。「当日の投票用紙は受け取るつもりはありませんでした。制度の正常性を確認するために行った行動です。関係者の方々にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません」と謝罪の意を表明しています。
市議本人や市議会事務局などの情報によれば、市議は先月6日、投票所入場券や身分証明書を持たずに期日前投票所へ赴き、本人確認と名簿照会を経て期日前投票を実施しました。しかし、その後、8日の投票日当日には、今度は投票所入場券を持参して指定の投票所に現れ、他の有権者と同様に投票従事者に入場券を提示し、投票の受け付け手続きを済ませたのです。
投票従事者が「おかしい」と気づき、事態が発覚
この異常事態に最初に気づいたのは、受け付けの次の工程を担当する名簿対照係の投票従事者でした。名簿と照合したところ、市議の欄には既に「投票済み」と記録されていたため、すぐに市議に確認を取ったところ、期日前投票を済ませたことを認めたとのことです。
なぜこのような行動を取ったのかについて、市議は数日前に自身のSNSで持論を投稿していました。その中で、「期日前投票を済ませた後、入場券を持って当日に投票所へ行くと、実際にはどのように扱われるのかという制度の正常性を確認するため、当日投票所へ照会に行きました」と記しています。
市議会が厳重な対応 議長が「極めて不適切」と批判
この投稿などを受けて、網走市議会の正副議長と会派の代表ら6人は先月12日、この市議に対して詳細な説明を求めました。その場で市議は、「投票できるかどうかを自分で体験してみて、できないことを証明しました」などと釈明したと伝えられています。
網走市議会の松浦敏司議長は、この事態について厳しい見解を示しました。「この市議の行為は、公正かつ適正に執行されるべき選挙事務を混乱させるもので、極めて不適切であり、法令に抵触する疑いも強いと言えます。断じて容認できるものではありません」とコメントし、選挙の信頼性を損なう行為として強く非難しています。
この事件は、選挙制度の透明性と公正性に対する市民の信頼を揺るがす可能性があり、今後の選挙管理における課題を浮き彫りにしました。網走市議会では、再発防止策の検討や、市議に対するさらなる対応を協議する見込みです。