衆院選大分3区で岩屋毅氏へのSNSバッシングが激化、異例の選挙戦に
衆院選大分3区では、当選した自民党の岩屋毅前外相(68歳)がSNS上で激しいバッシングを浴び、保守系の3人の新人から強い批判を受ける異例の展開となった。専門家は、選挙期間中にSNSや候補者間で厳しい言葉が飛び交うケースが増えていると指摘し、「有権者には冷静な判断が求められる」と警鐘を鳴らしている。
投稿26万件超で突出、事実に基づかない誹謗中傷が蔓延
「ネットの中で事実に基づかない誹謗中傷が繰り返された。複数の候補者がある意味、私を攻撃するために出馬し、異質な選挙戦だった」。投開票から一夜明けた9日、岩屋氏は大分県別府市の事務所で選挙戦を振り返った。SNS上では、売国奴や国賊、中国の工作員といった厳しい言葉が11選を目指す岩屋氏に向けてあふれた。背景には、2024年12月に石破政権の外相として中国人のビザ発給要件緩和を発表したことや、イスラム教徒の土葬墓地建設計画に関連して地元議員の要望書提出を仲介したことが挙げられ、媚中派や土葬推進派との批判を招いた。
読売新聞がX(旧ツイッター)上の投稿を分析したところ、「岩屋毅」が含まれる投稿は、公示日の1月27日から投開票日の2月8日までに約26万3000件に上り、自民党候補者の中では突出していた。例えば、外相経験もある山口3区の林芳正総務相の約4万6000件や、宮崎2区の江藤拓氏の約1万2000件と比較しても、その多さが際立っている。
保守系3新人が岩屋氏への批判を強め、有権者からは複雑な声
選挙期間中は、保守系の3人の新人が岩屋氏への批判を強めた。昨年の参院選東京選挙区で移民規制などを訴えた無所属新人は第一声で「岩屋さんに勝つためにこの選挙に立った」と表明し、日本保守党が擁立した候補者は「父がつくったモンスターを私が終わらせる」と主張した。参政党新人も岩屋氏を否定的に取り上げ、中道改革連合新人からは「今回の選挙は特定の候補者の落選運動ではない」との声も聞かれるほどだった。
岩屋氏の陣営は当初、SNSなどに過剰反応しない方針だったが、虚偽や悪質な投稿が相次いだため、今月4日に法的措置を含めた対応を検討する声明を出した。有権者からは様々な反応があり、別府市の男性(77歳)は「外国寄りだと感じた。もう入れない」と述べる一方、中津市の自営業男性(52歳)は「岩屋さんへの罵詈雑言が多く、うんざり」と語った。
岩屋氏の得票は前回から3万票減、専門家が有権者に冷静な判断を呼びかけ
各地で自民党候補が票を伸ばす中、岩屋氏は前回選から約3万票減らし、全国の小選挙区の当選者で2番目に少ない5万7996票にとどまった。次点の中道改革の新人に約7300票差まで迫られる苦戦となった。
専修大学の山田健太教授(言論法)は、「差別的な言葉が候補者に投げかけられるのは好ましくなく、事実に基づく批判とは一線を引くべきだ。一番冷静にならないといけない選挙では、真実性や政策の実現可能性を慎重に判断し、投票するのが今の時代に求められる」と指摘している。この選挙戦は、SNSを中心とした情報拡散が選挙に与える影響を浮き彫りにし、有権者の判断力が試される事例となった。