与党が予算案を強行採決、国会軽視の姿勢に批判の声高まる
熟議への姿勢がまったく見受けられない。国会軽視は国民を軽視することと同じだ。数の力による強引なやり方は容認できない。こうした批判が、2026年度当初予算案の衆院通過をめぐって高まっている。
審議時間の短縮と野党の反対を押し切り
2026年度当初予算案が衆院を通過した。議席で4分の3を占める与党が、審議時間の確保を求めた野党の反対を押し切り、採決に持ち込んだ。予算案は憲法の規定で衆院の議決が優先されるため、成立が確実となった。
高市早苗首相が1月23日の通常国会冒頭で衆院解散を表明したため、予算案の国会での審議入りは2月27日にずれ込んだ。例年であれば予算案は1カ月程度かけて審議される。このため暫定予算の編成も想定されていたが、「国民生活に支障を生じさせないように」と、年度内成立にこだわる高市首相の意向が強く反映された格好だ。
スピード優先の対応と国会の役割軽視
とはいえ、スピード優先で突き進む与党の対応は釈然としなかった。審議時間を大幅に短縮し、首相出席の機会も減った。地方公聴会は異例の形で日曜に開催され、採決に先立つ締めくくり質疑など一連の日程は、自民党の坂本哲志予算委員長の職権で決まった。
衆院選で自民が圧勝し、国会の勢力図は大きく変わり、自民は予算委員長ポストを奪還した。首相は、政府や党内での権力基盤を確固たるものにした。しかし国会は国民から負託された熟議の場であり、行政への監視機能も担う。行政府の長である首相と、政権を支える与党の対応は、こうした国会の役割をむげにしたといえる。
過去最大の予算案と必要な議論
予算案は過去最大の122兆3092億円に上る。国民生活と密接に関わる物価高対策や社会保障のほか、膨れ上がる防衛費や国債など、この国の行方を左右するものだ。「責任ある積極財政」を掲げる首相が手がけた最初の予算であり、徹底した議論と検証が必要なのは言うまでもない。
参院での審議と今後の見通し
審議は参院に移る。参院では与党が過半数を割り込んでおり、これまでのように目算通りに審議を進めるのは難しいだろう。衆院で与党が採決を強行したことで、野党は反発を強めており、肝心の年度内成立は見通せないままだ。
中東情勢は緊迫の度合いが高まり、原油価格の急騰が暗い影を落とす。国内外に課題が山積するなか、国会が機能不全になるような状況は許されない。与党は真摯に野党と向き合い、議論を通して合意形成を図るべきだ。
野党にも求められる役割
政権と与党の独善的な対応を許している野党にも問題がある。衆院での論戦では、本質的ではない質問などが散見された。国民の視点で政策をきめ細かく点検し、政権と巨大与党に対峙してほしい。



