日本銀行はみずからが「物価の番人」であり、その役割を果たすことを国民から負託されていることをすっかり忘れてしまったのだろうか。28日、日銀は金融政策決定会合(年8回開催、メンバーは総裁以下9人)を開き、現在の政策金利0.75%を据え置くことを賛成6、反対3の賛成多数で決めた。
インフレ加速の中での据え置き判断
日本の消費者物価は、実質2%超の上昇基調が4年も続いている。足元では米国・イラン戦争によってホルムズ海峡が封鎖されたショックで、さまざまなモノやサービスの価格が一段と高騰している。インフレ加速が予想される状況で、0.75%の政策金利は物価対策としてまったく非力だ。それどころか、これではむしろ物価を上げる効果を持つほどの実質緩和政策である。そんなおかしな金融政策がいまだ続けられている点は本来、問われるべきだろう。
実質政策金利はまだマイナス
主要な中央銀行の政策金利と比較すると、日銀の金利は極めて低い水準にある。実質政策金利(政策金利から期待インフレ率を差し引いたもの)は依然としてマイナス圏にあり、金融緩和が続いていることを示している。この状態が長引けば、円安の進行や資産価格の上昇など、副作用も懸念される。
政権の影と失敗への批判
今回の利上げ見送りには、高市政権の意向が影を落としているとの見方も強い。政府は経済成長を優先し、急激な利上げによる景気減速を恐れているとされる。また、植田総裁は前回の利上げ判断で市場を混乱させた経験から、慎重姿勢に傾いたとの指摘もある。日銀内部では、利上げを主張する委員と慎重派の間で意見が割れており、今回の決定は物価対策として不十分との批判が強まっている。
日銀は今後、イラン情勢や為替動向を注視しながら、次の利上げのタイミングを探ることになる。しかし、インフレが加速する中で、現状の緩和政策を続ければ、国民の生活費負担はさらに増大する恐れがある。日銀の真価が問われている。



