童話「ごんぎつね」で知られる児童文学作家、新美南吉(1913~1943年)の研究を続ける茨城県つくば市の小野敬子さん(90)が、愛知県半田市の新美南吉記念館で月に一度開催する「うたとおはなしの会」が、2026年3月に250回を迎えた。小野さんは2003年からこの会に参加し、南吉作品の魅力を伝え続けている。
会の始まりと250回目の開催
「うたとおはなしの会」は、2003年3月の南吉60回忌法要で隣り合わせた小野さんと半田市の左近治樹さんが意気投合し始まった。小野さんが南吉の詩や物語を暗唱し、左近さんが作品に着想を得た自作の歌を弾き語る形式だ。250回目の2026年3月22日には、子だぬきが登場する「げたにばける」や、小僧さんを檀家が見守る「こぞうさんのおきょう」が取り上げられた。小野さんと左近さんの妻玲子さん(64)が語り、左近さんの3人の子どもたちがギターや歌で演奏を添えた。
小野さんの献身
小野さんは会を始めて2カ月後、名古屋市から息子が住むつくば市に転居した。それ以降も、月に一度、4時間以上かけて日帰りで記念館に通い続けている。「楽しくて、大変だと思ったことはない」と語り、会を休まないために感染症予防にも気を配る。
左近さんの急逝と家族の継承
昨年11月、会を共に立ち上げた左近治樹さんが70歳で急逝。しかし、その妻玲子さんと3人の子どもたちが「ファミリー」を結成し、父が残したカセットテープと幼い記憶を頼りに練習を重ね、昨年12月から会に参加している。小野さんは「左近さんとは『250回は通過点』と話していた」と振り返り、玲子さんは「子どもたちの予定が合わなくても、続けていける会でありたい」と未来を見据える。



