2002年の日韓ワールドカップ。三重県鈴鹿市で事前キャンプを張るコスタリカチームを歓待したのは、ホンダの人型ロボット「ASIMO(アシモ)」だった。二足歩行でしっかり進み、サッカーボールを蹴る姿に、選手らは驚きの声を上げた。現場にいた私も、日本の先進技術を誇らしく感じた。未来が目の前に現れたような光景だった。
24年後の変貌
あれから24年。人型ロボットを巡る景色は様変わりした。主役は中国だ。競技会や展示会のほか、警備や案内など社会のあらゆる現場にロボットが入り始め、人工知能(AI)との連携も進む。技術を「見せる段階」から、「使う段階」へと移行しつつある。
日本の技術と中国の実装力
アシモは多くの人に未来の夢を見せたが、家庭や職場に広く普及するには至らなかった。電気自動車(EV)用電池やネオジム磁石もしかりだが、日本は優れた技術を生み出しながら、量産化や社会実装で中国に後れを取り、今や見る影もない。驚きを呼ぶ技術があっても、それを産業の厚みに結びつけられなければ、世界では主導権は握れない。未来を示すだけでなく、それを現実の力に変えられるか。技術立国・日本の底力が問われている。(前橋支局・平井剛)



