流通・小売業界が連携、サイバー攻撃に共同で立ち向かう
九州を拠点にディスカウント店を展開するトライアルホールディングス(HD)や、アサヒビールを傘下に持つアサヒグループジャパン、NTTなど、流通・小売業を中心とした10社は4月6日、サイバーセキュリティ対策に共同で取り組むため、業界団体「流通ISAC(アイザック)」を月内に設立すると発表しました。この取り組みは、各社の知見を共有し、サイバーリスクへの対応を強化することを目的としています。
参加企業と具体的な対策内容
参加企業には、トライアルHD、アサヒグループジャパン、NTTのほか、サントリーHD、花王、スギHD、三菱食品などが名を連ねています。これらの企業は、サイバー攻撃の兆候を即時に共有する仕組みを構築し、システムの構築や共有方策については今後詳細を検討していく予定です。
さらに、業界内での対応指針の作成や、実務担当者や経営陣を対象とした勉強会や演習にも共同で取り組む計画です。NTTは技術面での支援を提供し、全体のセキュリティ基盤を強化します。
背景と緊急性
トライアルHDの永田洋幸社長は同日の発表会で、「サイバーリスクはもはや一つの企業だけで対応できる課題ではない。業界全体で情報共有し、協力して対策を進めることが必要だ」と強調しました。流通・小売業界のサプライチェーン(供給網)は多くの企業で構成されており、一社で発生したサイバー被害が物流の混乱や店舗の営業停止など、広範囲に波及する恐れがあるためです。
実際、アサヒグループジャパンの親会社であるアサヒグループHDは昨年9月にサイバー攻撃を受けており、こうした脅威への対応が急務となっています。団体名の「ISAC」は「情報共有分析センター」の英語略称から名付けられ、2024年頃から設立に向けた準備が進められてきました。
この取り組みは、業界全体のレジリエンスを高め、消費者への信頼維持にもつながると期待されています。今後、他の企業の参加も視野に入れながら、サイバーセキュリティの新たな枠組みを構築していく方針です。



