断熱材不足で過剰発注連鎖、現場と政府見解に乖離
断熱材不足で過剰発注連鎖、現場と政府見解に乖離

中東情勢の不安定化が住宅建設に使用される断熱材の供給逼迫を招いている。ナフサを原料とする断熱材は需給がひっ迫し、高市早苗首相は「年を越えて供給を継続できる」との見解を示したが、現場の実感との隔たりが広がっている。過剰な注文が品不足を悪化させる悪循環が生じており、業界関係者は懸念を強めている。

新規受注を一時停止するメーカー

全国で断熱材のシェアを有するある化学メーカーは4月下旬、新規受注の一時停止に踏み切った。「できるだけ止めずに対応してきたが、もう限界だ」と担当者は語る。通常、断熱材の流通はメーカー、販売会社、工務店の三段階で構成される。工務店は販売店を通じて必要な枚数をメーカーに発注する仕組みだ。

「虚像の発注数」が引き起こす混乱

しかし4月に入ってから数週間、このメーカーには通常の2倍以上の発注が殺到した。その背景には、ナフサ不足のニュースを受けた工務店の過剰な確保行動がある。実際には50枚しか必要ない場合でも、複数の販売会社にそれぞれ50枚ずつ発注することで、メーカーには100枚の注文が届く。担当者はこれを「虚像の発注数」と表現し、実際の需要を把握するための聞き取り作業に追われている。

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オイルショック時のトイレットペーパー買い占めと類似

担当者は「オイルショック時のトイレットペーパー買い占めと同じ構図だ」と指摘。不安がさらなる不安を呼び、過剰発注が連鎖している。通常の販売量であれば対応可能だが、現状は綱渡りの状況が続いている。

値上げより安定供給を優先

別の化学メーカーも同様の対応を迫られている。値上げの検討も行われるが、業界全体として安定供給を最優先する姿勢がみられる。ただし、供給継続の見通しは不透明で、現場の不安は解消されていない。

政府はナフサ由来製品の供給継続を強調するが、工務店や販売会社の間では先行きへの懸念が根強い。過剰発注の連鎖を断ち切るためには、正確な情報共有と冷静な対応が求められている。

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