ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、東南アジアの国々が原油や天然ガスの確保に苦心している。東南アジアと関係の深い日本が支援の手をさしのべているものの、産油国のロシアに頼る動きが目立っている。
ASEAN首脳会議で協力体制を合意
フィリピン中部セブで8日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議。議長国フィリピンのマルコス大統領は会議後の記者会見で、「石油備蓄の協力は、コメの非常用備蓄(での協力)のようなものだ」と語り、原油の融通で各国が協力する体制の整備で合意したと明かした。中東情勢の緊迫化に「深刻な懸念」を表明し、ホルムズ海峡を開放するよう求める首脳声明を採択。ASEANが団結して危機に対応する姿勢も強調した。
高い中東湾岸地域への依存度
産油国のブルネイやマレーシアを除き、ASEAN各国は原油や天然ガスの多くを中東湾岸地域に頼ってきた。原油の国家備蓄量も、多くが1~3カ月程度と少ない。原油供給の9割超を中東に頼るフィリピンが3月に「エネルギー国家非常事態」を宣言するなど、多くの国で混乱が生じた。
タイやフィリピンは、脱炭素政策を進める一方で、中東依存からの脱却を模索。ロシアからの輸入を増やす動きが加速している。日本政府は出光興産を通じてベトナムに原油400万バレルを融通するなど支援を続けるが、ASEAN域内での協力強化が急務となっている。
ホルムズ危機は、アジアやオーストラリアで電気自動車(EV)需要を拡大させ、ガソリン価格高騰がその追い風となっている。また、航空路線にも影響が広がり、運賃値上げも見られる。産油国インドネシアでさえ、ロシアとの接近を強めるなど、地政学的な再編が進んでいる。
今回の危機は、東南アジアのエネルギー安全保障の脆弱性を浮き彫りにした。今後の対応が、地域の安定と日本の関与に影響を与えるだろう。



