2011年の東日本大震災による津波の影響を受けた干潟で、貝類などの底生生物は全体的に回復しつつあるものの、それらに寄生する寄生虫は約15年が経過した現在も減少したままであることが、高知大学などの研究グループによる調査で明らかになった。研究成果は5日までに英科学誌に掲載された。
調査の概要
研究グループは、仙台湾周辺の宮城県と福島県にある干潟5カ所を対象に、2005年から2024年にかけて、巻き貝の一種であるホソウミニナと、その寄生虫6種を現地で直接採取した。また、環境省のデータベースを活用し、福島県の松川浦に生息する108種の底生生物全体の個体数変化も分析した。
主な結果
調査の結果、貝類や甲殻類などの底生生物は、震災から約10年でおおむね元の状態に回復していた。鳥類については、震災前後で大きな変化は見られず、津波の影響は限定的だったと考えられる。
一方、寄生虫に関しては、特定の種類がほとんど観測できなくなったり、個体数が減少したりする現象が確認された。研究グループは「生態系の中で一部の生物がまだ回復していない可能性を示している」と指摘している。
今後の課題
この結果は、津波後の生態系回復が単純ではなく、食物連鎖の上位に位置する寄生虫など、見えにくい生物の回復が遅れていることを示唆している。研究グループは、長期的なモニタリングの重要性を強調している。



