クボタが経営方針を転換 利益重視へ舵を切る
クボタの花田晋吾社長は13日、大阪市浪速区の本社で記者会見を開き、従来の規模拡大重視から利益水準向上を最優先とする経営方針への転換を明確に打ち出しました。この方針転換は、同社が同日公表した2030年までの新たな中期経営計画に反映されており、業界に大きな波紋を広げています。
売上高目標を外し利益指標に集中
新たな中期計画では、初めて売上高の数値目標を設定せず、「自己資本利益率(ROE)12%」をはじめとする利益面の指標に絞って経営目標を掲げました。これは、農機市場でアジア勢の本格参入が進む中、無理なシェア拡大を追求する従来の姿勢を見直す決断を示すものです。
花田社長は会見で、「アジア勢の本格参入に対して、これまで無理をしてシェアを維持してきた側面がある。もう無理にシェアは追わない」と率直に語り、利益を犠牲にした規模拡大からの脱却を宣言しました。具体的には、北米を中心に顧客のローン金利を数年間肩代わりしてきた販売促進施策を縮小し、収益性の改善を図る方針です。
リストラなしでの達成を目指す
近年、製造業では利益重視を掲げつつも、大規模な人員削減などのリストラを伴うケースが目立っています。しかし、花田社長は「挑戦的な目標ではあるが、大胆な事業売却や人員削減はせずに達成できる」と強調しました。利益向上と従業員の雇用維持を両立させる姿勢を示し、従来とは異なるアプローチで経営改革を進める考えを明らかにしました。
この方針転換は、クボタが長年続けてきた経営スタイルの大きな転換点となる可能性があります。農機業界全体が激しい競争環境に直面する中、持続可能な成長を目指すための戦略的選択として注目を集めています。
花田社長はさらに、「利益水準の向上に目標を絞る一方で、人員削減などのリストラには手をつけない」と繰り返し述べ、従業員のモラル維持と企業の社会的責任にも配慮した経営をアピールしました。今後の具体的な施策として、生産効率の向上や新技術への投資を通じた収益改善が検討されています。