長生炭鉱潜水調査で死亡の台湾ダイバー、遺族が活動継続を要望
長生炭鉱死亡ダイバーの遺族、調査継続を要望

長生炭鉱潜水調査で死亡の台湾人ダイバー、遺族が活動継続を強く要望

戦時中の水没事故で183人が犠牲となった海底炭鉱「長生炭鉱」(山口県宇部市)において、遺骨収容のための潜水調査中に意識を失い、その後死亡した台湾人ダイバーのウェイ・スーさん(57)の遺族が、調査活動の継続を強く望む意向を明らかにしました。この意向は、潜水調査に取り組む市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(刻む会)に対して伝えられたものです。

遺族の要望と安全確保への強い願い

刻む会の井上洋子代表が2月13日、公式ウェブサイトを通じて遺族の意向を公表しました。遺族は「二人目の犠牲者が出ないように、安心・安全を保全したうえで、こういった活動はとても有意義なので、ぜひ活動を続けていただきたい」と述べたとされています。この発言は、事故の悲劇を乗り越え、歴史的意義のある調査を継続することへの強い支持を示しています。

ウェイ・スーさんの遺体は2月11日に日本で火葬され、遺族は13日に遺骨と共に台湾へ帰国しました。宇部海上保安署の発表によれば、スーさんの死因は水死とみられています。この事故は、極限環境下での潜水調査に伴う危険性を改めて浮き彫りにしました。

長生炭鉱の歴史的背景と調査の重要性

長生炭鉱は1940年代の水没事故で多くの犠牲者を出した歴史的な現場であり、遺骨収容は戦争の記憶を後世に伝える上で極めて重要な活動です。刻む会はこれまで、市民団体と水中探検家が連携し、暗闇の海底に眠る遺骨の収容に粘り強く取り組んできました。

今回の死亡事故を受け、一時は潜水調査の中止も検討されましたが、遺族の要望は活動の継続に新たな光を当てるものです。関係者らは、安全対策を徹底しつつ、歴史的使命を果たす姿勢を強調しています。

今後の課題と展望

この事故は、潜水調査における安全管理の再点検を迫るものとなりました。刻む会をはじめとする関係団体は、遺族の意向を尊重しつつ、より厳格な安全プロトコルの導入を検討しています。また、厚生労働大臣も「関係省庁と連携して対応する」と表明しており、国レベルでの支援が期待されます。

長生炭鉱の調査は、単なる遺骨収容を超え、戦争の悲惨さを現代に伝える教育的意義も持っています。遺族の勇気ある要望は、こうした活動の社会的価値を再確認させる契機となるでしょう。