原油価格高騰が食品包装資材を直撃 メーカー相次ぎ値上げ
原油価格の高止まりが続く中、食品に使用される包装資材への影響が深刻化している。プラスチック容器や袋の調達が困難になる状況を受け、主要メーカーが相次いで値上げに踏み切った。この動きは食品業界全体に波及し、新たな対応策が求められている。
包装資材メーカーの値上げ相次ぐ
積水化成品工業は4月21日出荷分から、精肉用食品トレーの材料となる「発泡ポリスチレンシート」の価格を1キロ当たり120円引き上げた。同社は魚市場や青果市場で使用される発泡スチロール箱の材料製品についても値上げを実施。「昨今の原材料価格の高騰は自助努力のみで吸収することが困難な状況」と説明している。
三菱ケミカルは食品トレー用ラップを35%以上値上げしたほか、弁当の透明ふたに加工されるシート製品や菓子類の包装に使用するフィルム製品についても価格を引き上げた。これらの製品はナフサを原料とする石油化学製品であり、原油価格の影響を直接受けている。
家庭用品にも波及 クレハが冷凍保存袋を値上げ
化学メーカーのクレハは、冷凍保存袋「iremo(イレモ)」などの家庭用品について、6月1日納入分から出荷価格の値上げを決定した。旭化成も「サランラップ」について「現時点で値上げを決定した事実はない」としながらも、生産コストが上昇していることを認めている。
同社は中東情勢の悪化が長期化すれば、「値上げをお願いしなければならない時期が来る可能性がある」と述べ、今後の原油価格動向によってはさらなる値上げの可能性を示唆した。
「包まない」動きが食品業界で広がる
包装資材の値上げや調達難に対応するため、食品業界では「包まない」動きが活発化している。長野県安曇野市の「おいも日和安曇野店」では、ふた付き容器を持参して大学芋を購入すると30円引きとするサービスを開始。インスタグラムで告知を行い、容器持参を促している。
簡易包装や量り売りへの転換も
食品業界では以下のような対応策が広がりつつある:
- 容器持参客への値引きサービス
- 過剰包装の見直しと簡易包装への切り替え
- プラスチック袋の代わりに古紙の使用
- 量り売りの拡大
- 返却可能な容器システムの導入検討
専門家も「脱プラ」を歓迎
元競泳五輪代表で途上国教育専門家の井本直歩子氏は「普段から過剰包装に辟易している身として、この脱プラは大大大歓迎」とコメント。食品業界に対し「この機に声高らかに、積極的に広めましょう」と包装使用削減の推進を呼びかけている。
同氏は容器持参での値引きや容器返却時の割引、プラ袋の代替としての古紙使用、量り売りの拡大など「できることはいっぱいある」と指摘し、持続可能な包装への転換を促している。
中東情勢が化学品供給に影
包装資材の値上げ背景には、中東情勢の悪化に伴う原油価格高騰が大きく影響している。ナフサをはじめとする石油化学製品の供給不安が高まっており、食品容器だけでなく、点滴用袋や建材などの材料にも値上げの波が及んでいる。
塗料用シンナーでは「取り合い」状態が発生するなど、化学品全般の調達競争が激化。洗剤やシャンプーなど日用品への値上げ懸念も広がっている。
食品業界では、包装資材の高騰が続く中、環境配慮とコスト削減を両立させる新たなビジネスモデルの構築が急務となっている。消費者側も容器持参などの行動変化が求められる時代が到来しつつある。



