家電量販業界に再編の波が再び押し寄せている。業界首位のヤマダホールディングス(HD、群馬県高崎市)と5位のエディオン(大阪市)は、5日にも経営統合で合意する見通しだ。両社の売上高を合算すると約2兆5000億円に達し、競合他社を大きく引き離すことになる。しかし、両社が店舗を多く構える地方では人口減少が深刻化しており、経営環境の厳しさが増す中での「防衛的な再編」との指摘もある。
統合の背景と期待
ヤマダとエディオンが統合を検討していることは、久々の大型再編として業界関係者の注目を集めている。買い物客からは統合への期待の声が聞かれる。JR高崎駅前にあるヤマダの旗艦店を訪れた看護師の女性(40)は、「家電は値段が高いものが多い。統合効果で価格が下がれば嬉しい」と語った。
両社の歴史と強み
ヤマダは創業者の山田昇会長が1973年に群馬県で開いた「街の電器店」を出発点に、北関東から全国へと事業を拡大してきた。一方、エディオンは中四国と中部地方を地盤に発展してきた。両社とも都心に大型店を構えるが、地方での存在感が特に強い。統合が実現すれば、首都圏が地盤のノジマや、都心に強いビックカメラ、ヨドバシカメラの売上高を大きく上回る。業界首位の地位を固めるだけでなく、日本の小売企業全体で見ても、イオン(売上高10兆円超)やセブン&アイ・ホールディングス、ファーストリテイリング(3兆円余り)に次ぐ4位の規模となる。
防衛的再編の見方
しかし、流通アナリストの中井彰人氏は「攻めの再編というよりは、防衛的な再編だろう」と分析する。特にヤマダとエディオンが強い地方では人口減少が深刻で、全国で約7兆円とされる家電需要の伸びは期待しにくい。その影響は、ビックカメラやヨドバシカメラといった「都心型」の家電量販店よりも、ヤマダやエディオンのような「郊外型・地方型」の店舗に顕著に表れるという。さらに、ネット通販との競争も激化している。
両社のこれまでの取り組み
ヤマダやエディオンも手をこまねいていたわけではない。住宅の新築や改築に伴う家電需要を取り込むため、リフォーム事業や住宅販売との連携を強化してきた。しかし、人口減少とネット通販の台頭という構造的な課題に対抗するには、規模の拡大によるコスト削減や仕入れ力の強化が不可欠と判断したとみられる。
今後の焦点
統合の成否や今後の業界再編の行方には、ノジマの出方が大きな影響を与えるとみられる。ノジマは首都圏を中心に強固な地盤を持ち、積極的なM&A戦略で成長してきた。今回の統合に対抗し、さらなる買収や提携に動く可能性もある。業界全体の再編が加速する中、各社の戦略が注目される。



