東京の空き家を再生、アフォーダブル住宅で家賃高騰に挑むスタートアップ「ヤモリ」
空き家再生でアフォーダブル住宅、東京の家賃高騰対策に

東京の空き家を再生、アフォーダブル住宅で家賃高騰に挑むスタートアップ「ヤモリ」

東京都が、周辺の相場よりも安い家賃で住める「アフォーダブル住宅」の推進に本腰を入れている。子育て世帯などの住まいを確保するため、都は100億円を投じて民間の資金とノウハウを呼び込み、さまざまなタイプのアフォーダブル住宅の供給を模索している。東京の住宅高騰の特効薬になるのか、その取り組みを詳しく見ていこう。

「リフォーム×AI活用」で住宅を生まれ変わらせる

都の事業を担うのは、中古住宅の再生を手がけるスタートアップ「ヤモリ」だ。三菱商事出身の藤澤正太郎社長(38)が2019年に創業し、渋谷区神宮前の築古の賃貸アパートに本社を構える。同社は「誰も目を付けていない古い住宅をリフォームで生まれ変わらせ、データと人工知能(AI)を活用して新しい市場を作る」ことを掲げ、2030年には全国で1万件の空き家再生を目指している。

空き家に共通する課題として、接道状況が悪い場合は立地が良くても市場価値が低く、金融機関が担保価値を評価しにくいため不動産ローンを借りにくい点が障害となっている。ヤモリはこうした課題を克服し、再生可能な物件を見極めるノウハウを蓄積している。

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築50年のごみ屋敷が女子大生向けシェアハウスに

ヤモリはファンドを作り集めた資金で物件を取得し、リフォームを施して賃貸住宅として貸し出す。建築士や施工管理、現場管理などの経験がある同社の約20人の精鋭部隊が中心となり、各現場で職人を集めてチームを作り、その立地でニーズのある住宅に再生する。

具体的な事例として、築50年でごみ屋敷になっていた板橋区の空き家は、410万円で取得し、約400万円かけて耐震補強を実施。トイレをシャワー室に改装するなどして、現在は女子大生向けのシェアハウスとして活用されている。藤澤社長は「都心5区でも再生可能な物件が出てくるが、板橋や練馬がボリュームゾーン。さらに東京の区部以外でも物件を増やす」と意気込む。

都の事業では、三菱UFJ信託銀行と連携し、「築古でも設備がきれいな住宅を浸透させたい」と藤澤社長は語る。これにより、より多くの空き家がアフォーダブル住宅として生まれ変わる可能性が高まっている。

りそなはシングルマザー向けのマンションを供給

他のアフォーダブル住宅の供給事業者として、りそな不動産投資顧問(江東区)も注目されている。同社は、シングルマザー向けの住宅事業を行うLivEQualityなどと連携し、新築や中古のマンションを購入して一部の住居をアフォーダブル住宅にしている。

りそな不動産投資顧問の福田修平社長は「供給戸数が少ないのが課題」と指摘する一方で、「民間投資家がリターンを出しながら社会的なインパクトを出す形が確立されれば、供給戸数が増えていくはず」と期待を寄せる。高騰する東京の住宅価格を押し下げる効果が期待される中、こうした取り組みが広がるかが焦点だ。

東京都のアフォーダブル住宅推進事業は、空き家再生を通じて住宅供給を増やし、家賃高騰に歯止めをかけることを目指している。スタートアップや金融機関の連携が、東京の住宅問題の解決につながるか、今後の動向が注目される。

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