原油価格急騰で世界経済に暗雲 アジア諸国がエネルギー自衛に動き出す
原油急騰で世界経済暗雲 アジアがエネルギー自衛へ

原油価格の急騰が世界経済に影を落とす

イラン情勢の緊迫化に伴い、原油先物価格が1バレル=120ドルに迫る急騰を見せている。これは2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来の高値水準であり、世界経済に新たな不安要素をもたらしている。エネルギー供給の確保を目指して、各国が自衛策に乗り出す動きが活発化している。

スタグフレーション再発の懸念が高まる

米国の著名アナリスト、エド・ヤルデニ氏は9日、米株式市場が年内に「メルトダウン」(暴落)する確率を20%から35%に引き上げたと発表した。インフレと景気後退が同時に進行する「スタグフレーション」が再発する可能性も高まっていると指摘。これは1970年代の石油危機後に見られた現象であり、世界経済が3%台前半の緩やかな成長率からさらに低下する引き金になる恐れがある。

米国産WTI原油の先物価格は8日(日本時間9日)のニューヨーク市場で一時、1バレル=119ドル台の高値を記録。世界の原油輸送の約2割が通過するホルムズ海峡の封鎖が長期化する可能性への不安が、価格を押し上げる主要因となっている。ヤルデニ氏は市場の安定には「ホルムズ海峡での安全な航行の再開」が不可欠だと強調した。

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アジア諸国がエネルギー自衛に動く

エネルギー供給不安は世界各国に広がっており、中東産原油への依存度が特に高いアジア地域では自衛の動きが顕著になっている。中国政府は国内石油精製大手企業に対して供給安定化策を強化するよう指示を出したと伝えられる。また、タイは一部の原油輸出を停止し、バングラデシュは購入規制を導入するなど、各国が独自の対応を迫られている。

トランプ米政権は米国際開発金融公社(DFC)を通じて、ホルムズ海峡を航行する船舶に最大200億ドル(約3.1兆円)の保険を提供する方針を示しているが、本格的な運用開始までには時間がかかりそうだ。このような国際的な支援策が確立されるまでの間、各国は自国のエネルギー安全保障を確保するため、迅速な対策を講じている。

ガソリン価格上昇が家計を直撃

原油価格の急騰は、ガソリン価格の上昇にも直結している。専門家の試算によれば、ガソリン1リットルが200円を超える見通しも出ており、家計への負担増が懸念されている。エネルギーコストの上昇は、運輸業界をはじめとするさまざまな産業に影響を与え、物価全体の押し上げ要因となる可能性が高い。

世界経済は緩やかな成長が定着しつつあったが、原油高が継続すれば、さらなる低成長時代への移行を加速させる恐れがある。各国政府はエネルギー政策の見直しと供給源の多様化を急ピッチで進めており、今後の情勢展開が注目される。

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