現場から湧き出てもゴミになる「石油の里」 原油高でも「どうこうできない」
石油の里、原油湧くも廃棄物 住民困惑

不安定な中東情勢の影響で、原油高が長引いている。原油調達の大半を輸入に頼る日本にとって厳しい状況が続くが、国内にもわずかながら原油資源が存在する。新潟市の「石油の里」と呼ばれる地域を訪ねた。

田園地帯に漂う油の匂い

田んぼの合間に家々が点在し、ウグイスのさえずりが聞こえるのどかな風景だが、機械油のような臭気が漂う。足元の水路には、マーブル模様の虹色の膜が張っていた。大正時代に日本一の産油量を誇り、「石油の里」と呼ばれた旧新津市、現在の新潟市秋葉区。採掘を終えた今も、油田の跡地から原油が湧き続けている。

産業廃棄物として処理

水路には油と水を分離するための分離槽が設置され、溜まった油は業者が週に1~2回回収に来る。しかし、その油は産業廃棄物として処分され、燃料や原料として活用されることも、住民の手元に届くこともない。「油を有効に使えれば良いのですが」と、近くに住む女性(59)は語る。かつては住宅の塀に塗って防水や防虫に利用する人もいたが、火災の危険があるため、最近では見られなくなった。通常は分離槽から先に油が流れ出ることはないが、大雨が降ると水と一緒に油があふれ出す。水路が油で詰まることもあり、その場合は住民が掃除しなければならない。「片付けが大変なだけです」と女性は嘆く。中東情勢で原油価格が不安定になっても、隣を流れる油は単なる「ゴミ」であり、その恩恵は一切ない。

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原油高の影響、住民の暮らし直撃

原油高の影響は、この地域の住民も同じように受けている。別の自営業の女性(47)によると、半年前より灯油が1リットルあたり20円値上がりした。ガソリンスタンドから「灯油の値段が上がる」という通知が届いた翌日には、スタンドに10台以上の車が並んだ。これは全国どこでも見られた光景だ。

まきストーブへの切り替え

近くに住む中野明夫さん(79)も灯油高に悩む一人だ。かつては灯油ストーブのある部屋で一日を過ごすことが多かったが、費用がかさむため、この冬は代わりにまきストーブのある部屋で過ごした。準備していたまきを使い切ってしまったため、春になって急ピッチでまき割りをしている。自宅の畑でジャガイモや大根も栽培しているが、普段使っていた20キロ1300円程度の化成肥料が、原油高の影響で倍以上の値段に。もみ殻や米ぬか、鶏ふん、油かすを混ぜて節約しているという。中野さんは「困ったもんだ。物価高に追い打ちをかけるように原油高が来た。世界の一握りの人がやっていることで、世界中の人が困っている」と憤る。

なぜ石油が湧くのか

なぜこの一帯に石油が湧いているのか。長年にわたる地層の変化で…この記事は有料記事です。残り1213文字。有料会員になると続きをお読みいただけます。

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