日本で発生した事件の容疑者が海外に逃亡する事例が後を絶たない。警察庁が公表した資料によると、日本で犯罪を犯した疑いがあり、昨年末時点で国外に逃亡している、またはその恐れがある捜査対象者は927人(うち外国人690人)に上ることが明らかになった。このうち最も多いのは殺人や強盗などの凶悪犯で219人に達する。また、昨年中に国外に逃亡した捜査対象者は205人(うち外国人113人)だった。
具体的な事例
例えば、東京・六本木のクラブで男性が殺害された事件では、主犯格とされる容疑者が事件後に出国し、現在も警視庁が行方を追っている。一方で、近年は海外にいる容疑者が日本に移送され、摘発されるケースも相次いでいる。
元参院議員による脅迫事件では、警視庁が逮捕状を取得した時点で、元議員はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在していた。また、高級腕時計のシェアサービス「トケマッチ」で預かった時計をだまし取った疑いがある運営会社の元代表らもUAEに滞在していた。いずれのケースも移送され、日本で逮捕されている。
日本の捜査当局の限界
日本の捜査当局には、外国で強制的に捜査を行ったり、容疑者を拘束したりする権限はない。これは国家の主権に関わる問題であり、各国共通の原則である。では、日本で罪を犯したと捜査当局が判断した場合、どのような手段が取られるのか。
警察が取る五つの手段
警察庁によると、国外逃亡容疑者に対しては主に以下の五つの手段が講じられる。
- 国際手配:国際刑事警察機構(インターポール)を通じて、国際手配書(レッドノーティス)を発行し、加盟国に容疑者の所在確認と身柄確保を要請する。
- 二国間協力:逃亡先の国と直接交渉し、捜査協力や身柄引き渡しを依頼する。特に犯罪人引き渡し条約を結んでいる国との連携が有効だ。
- 入国管理局との連携:容疑者が再入国する可能性に備え、出入国管理記録を監視し、再入国時に逮捕する。
- 在外公館を通じた情報収集:日本大使館や領事館を通じて、現地の情報を収集し、逃亡先の特定に努める。
- 国際会議や研修を通じたネットワーク構築:各国の捜査機関との関係を強化し、迅速な情報共有と協力体制を整える。
これらの手段を組み合わせることで、国外逃亡者の早期発見と身柄確保を目指している。しかし、条約の有無や相手国の協力姿勢によって成果は左右されるのが実情だ。



