カブトムシの雌は生涯一度きりの交尾 交尾後は雄を激しく拒絶
山口大学の小島渉准教授(動物生態学)らの研究グループは、カブトムシの雌が一生で一度しか交尾しないことを明らかにした。この研究成果は、国際学術誌に発表された。一般的に昆虫の雌は複数の雄と交尾することが知られているが、カブトムシの雌はこの常識を覆す行動を示すという。
交尾後の雌は雄を蹴り飛ばして拒絶
研究グループは、未交尾の雌のカブトムシ85匹を用いた実験を実施した。初回の交尾では、全ての雌が交尾に応じた。しかし、翌日や7日後、14日後、28日後に別の雄と引き合わせたところ、雌は雄を激しく拒否した。具体的には、雄を蹴り飛ばすなどの行動で「拒絶」を示し、再び交尾した個体は0~7%程度に留まった。
カブトムシの成虫の寿命は、野生下では1カ月に満たないと考えられている。この短い寿命を考慮すると、雌が生涯に一度しか交尾しないことが確認された。小島准教授は、「雌が複数回の交尾を拒否する理由は、メリットが釣り合わないからではないか」と推測している。
一度の交尾で十分な繁殖が可能
雄は交尾時に、精子やタンパク質などの栄養を含む「精包」と呼ばれるカプセルを雌の交尾器内に送り込む。研究では、交尾直後の雄と未交尾の雌を交尾させた場合でも、精包のサイズが小さくても、産卵数やふ化率に変化はなかった。これは、雌が一度の交尾で十分な精子や栄養を受け取れることを示している。
この発見は、カブトムシの繁殖戦略に関する新たな知見を提供する。従来の昆虫学では、雌が複数の雄と交尾することで遺伝的多様性を高めたり、栄養を補給したりする利点が強調されてきたが、カブトムシの雌は異なるアプローチを取っているようだ。
研究グループは、今後の研究で、他の昆虫種でも同様の行動が観察されるかどうかを調査する計画だ。この成果は、生態学や進化生物学の分野に貢献することが期待される。



